2016年7月26日火曜日

LME49600を使ったヘッドホンアンプの自作

先月、ヘッドホンアンプを作ったのですがここで紹介するのを忘れていました。

最初はオペアンプ1個+ダイヤモンドバッファという超定番の回路を考えていたのですが少しメンドくさくなってしまい、ディスクリートのダイヤモンドバッファの代わりにバッファICであるLME49600を使ってみました。「代わりに」と言ってもこのICの中身もダイヤモンドバッファなので、実質同じようなものですが…

ほぼデータシート通りの使い方をするので、アッという間に回路図が書けます。



最初は上の回路図で3kΩのところが4.7kΩだったのですが、ウォークマンから信号を入力したときに力不足を感じたので抵抗値を変更して少しゲインを上げました。何しろ主に使うヘッドホンが高インピーダンス低感度のAKGのK712Pro(インピーダンス62Ω、感度93dB)なので…

もともとは以前実験して効果に驚嘆したDCサーボをつける予定だったのですが、これも面倒になってカップリングコンデンサで済ませました。といってもMUSE KZ 1000μFとECHU 0.18μF(回路図には入っていませんが)をパラにして使っており、音質の劣化は最小限に抑えられているものと思います。
実はコンデンサなしでも出力オフセットは5mV未満に収まっているので、DC直結にしても多分大丈夫です。




アンプ部はユニバーサル基板でつくり、メンテナンス性を考慮して入出力は全てピンヘッダ・ピンソケットを使って簡単に基板を外せるようにしています。電源部は信頼性を重視して秋月の電源キットを使いました。プラスマイナス15Vです。
高さを抑えるため、正電源と負電源でトランスを1つずつ使っています。

ボリュームはコストパフォーマンスが高いと言われるマルツのRD925Gです。
抵抗は千石で買ったタクマンのREYとニッコームのRP-24C、一応評判の良いものですが、果たして自分の耳とこの安アンプで抵抗の違いが分かるかと言われるとはなはだ怪しいです。まあ気分の問題です。

作ってしばらく聞いてみてから、LME49600の発熱が少し気になったので銅板を適当に曲げてヒートシンクを作り、LME49600のフィンに直接はんだ付けしました。ということはこのヒートシンクには負電源の電圧がそのまま出ているわけで、注意が必要です。
オペアンプもFET入力のものを数種類とりかえて聞いてみましたが、無難にMUSES8920に落ち着きました。



外観はこんな感じ。電源LEDすらなくシンプルです。


音は、簡単な回路の割には思ったより良かったです。
Olasonic NANO-D1と比べると高音がぼやけていますが、低音の量だけは多いです。
解像度と音の広がりについては…まあ、さすがに結構な値段のNANO-D1と比べるのはかわいそうなのでこの辺にしておきます。でもこの自作アンプも決して悪くはないですよ。

しかし、オペアンプを使うと簡単ですし、誰が作っても同じ回路にしかならないので達成感も薄いです。
この辺でオペアンプはいったんやめにして、ディスクリートにチャレンジしてみたいと思っています。


2016年7月14日木曜日

NANO-D1 縦置きスタンドの製作

机周りのスペースの関係でDAC兼ヘッドホンアンプのNANO-D1を縦置きしているのですが、どうしても不安定で倒れそうなので精神衛生上よくありませんでした(実際に倒れたことは無かった)。

メーカーの公式通販サイトで縦置きスタンドも販売されているのですが、これも底面積が小さくイマイチ安定しなさそうな形状。

ということで、自作することにしました。

材料は、加工しやすく安っぽくなく、かつNANO-D1のデザインとマッチするものをと考え木を選びました。近所のホームセンターでアガチスの板(100×600×5mm)と角材を購入、計約500円。
アガチスは建具や将棋盤・ギターにも使われる素材だそうです。
これを無線部室で加工します。電子工作はよくやりますが、木工は中学生以来かも知れません。


できました。縦17cm、横10cmになるようカットした板に、約8cmに切った角材を接着剤で貼りつけ、四隅に固定用の穴をあけただけのシンプル構造です。この記事の最初の方でデザイン云々と書きましたが、改めて見るとこのスタンド、デザイン性皆無ですね。



下の写真でお分かりの通り、角材を本体の突起(足)で挟むような構造になっているため前後にずれることがありません。


こんな感じで使っています。せっかく開けた固定用の穴は使っていませんが、じゅうぶん安定しています。


2016年7月13日水曜日

USBケーブルで音質は変わるか?ブラインドテスト

オーディオ界には、思わず「本当か?」と疑いたくなるような音質改善法が多くあります。具体的に何とは言いませんが、中には明らかにおかしいカルトまがいの説をとなえる人もいます。
近年、パソコンを使ったオーディオ鑑賞が普及するにつれ、そのような怪しげな説に新たに加わったのがこちらです。「パソコンとDACを繋ぐUSBケーブルを変えると音が変わる」

「USBケーブルはデジタル信号を伝送しているのだから、途中でそのデータが壊れてしまわない限りは音の変化などあるはずがない。もしデータが壊れたとしてもそれはデジタル的な変化であり、アナログ的な(例えば「高域が云々、低域が云々」という)変化としては出てこない。」
と考える人が多いと思いますし、自分自身そう考えていました。

しかしインターネットで検索してみると、思ったよりこの「USBケーブル音質変化説」は支持を得ています。ただし、単に「交換したら音が変わりました!」といった類の記事が多く、プラシーボ効果の疑いが否定できません。(キチンと調査しているサイトもありますが)

そこで私はこの説の真偽を確かめるべく「オーディオ用USBケーブル」なるものをヤマダ電機のポイントで購入し(効果不明なものに現金は使いたくなかった)、耳の良い後輩にも来てもらってブラインドテストをすることにしました。


というわけで買ってきたケーブルがこちら。ELECOMのDH-AB10です。
このケーブルは新発売のものだそうで、まだネット上でレビューを見られなかったため、先入観の小さいテストができそうです。


パッケージの表には、「金メッキ端子」「99.95%OFC(無酸素銅)」などの売り文句にまじって「デジタル伝送」という至極当たり前のことが麗しく書かれており、若干胡散臭い感じを醸し出しています。ケーブル自体はかなり細く、切れそうで不安です。高級感を出すためなのか、編み込みケーブルになっています。コネクタはパッケージの文句通り金メッキの立派な物が付いています。


比較対象はこれ。
昔のプリンターか何かに付属していたUSBケーブルだと思います。太くて丈夫そうですし両端にフェライトコアまで付いていて、そんなに安物っぽくはありません。



さて、2人ともUSBケーブル音質変化説をあまり信じておらず、どちらかというと「音質が変わらないことを確かめよう」という気持ちでテストに臨みました。

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【被験者】
・当ブログ管理人(JO4EFC)
…理系の大学2年生。アナログ電子回路の知識が少しだけある。第1級アマチュア無線技士。USBケーブルで音が変わるという説には懐疑的。

・E君
…理系の大学1年生。デジタル回路・プログラミング・コンピュータ全般に詳しい。高校時代は放送部に所属。以前、私が判別できなかった2台のアンプの違いを判別したことがある良耳の持ち主。USBケーブルで音が変わるという説には否定的。


【手順】
(1) ひとりがシステムを操作して音楽を流し、もうひとりはUSBケーブルが見えない位置でヘッドホンを使いそれを聞く。音楽を聞いている人は、どちらのUSBケーブルを使用しているか知らされていない。
(2) システム操作係がUSBケーブルを交換し、再び手順(1)を行う。
(3)試聴が終わったあと、使用したケーブルの順番を発表する。感想はまだ発表しない。
(4) システム操作係とリスニング係を交代し、手順(1)から(3)を行う。
(5)全ての操作が終了した後、音の感想を発表する。


【比較したUSBケーブル】
・ELECOM DH-AB10 (長さ1m) 下画像左
・素性不明の汎用USBケーブル (長さ1.5m) 下画像右



【USBケーブル以外の使用機材・環境】
PC: TOSHIBA PT75-78MHXR (OSはWindows 10にアップグレード済)
再生ソフト: foobar2000 (WASAPI排他モード)
DAC: Olasonic NANO-D1 (専用ドライバ使用)
ヘッドホン: AKG K712PRO
音源: Stingの "Lazarus Heart" 44.1kHz 16bitのFLACファイル


【結果(というより感想)】
・当ブログ管理人の感想
DH-AB10と汎用ケーブルでは音質が明らかに違う。特に高音部の差が分かりやすかった。DH-AB10ではシンバルの音がくっきり聞こえるのに対し、汎用ケーブルではどうもぼやけがちである。

・E君の感想(テスト終了後に書いてもらったものをそのまま掲載)
DH-AB10
高音の「ハリ」
ベースの鳴らした後の残響が最後まで聞こえる
解像度がずっと高い

汎用ケーブル
明らかに低音が不自然に消えている
高音が張っていない(全体の音量に対する強さ)
シンバルなどパーカッション系の乱れ(ノイズに近いがまた違う)


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音質が明らかに違いました(2本目を聞き始めてすぐ分かりました)。しかも、私の感想とE君の感想は高音について合致しています。

E君は、私が言葉にできなかった低音部の違いや全体的なことにも言及してくれました。彼も信じられないという面持でしたが、実際に音が変わってしまったのですから仕方がありません。
これをお読みの方の中にはこの結果を疑う方も多いと思いますが、疑うなら実際に聴いてみてください、としか言いようがありません。不思議です。

不思議といってもこれは超常現象であるはずがなく、必ず物理的に説明できるはずです。USBケーブルでは電源ラインと信号ラインが並列に走っていますが、ここで電源ラインから信号ラインにノイズが乗り移ってDAC内部のアナログ回路に影響を与えるということくらいしか思いつきませんでした。しかし今回使ったDACの電源はUSBバスパワーではありませんし、こんな理由で本当に上に書いたような変化が生じるものでしょうか。

とにかく、もっとUSBについて勉強が必要なようです。

2016年7月3日日曜日

第46回 6m AND DOWN コンテストに参加

大学の社団局から、6m AND DOWN コンテストに参加してきました。
といっても夜間は部室を使うことができないので、2日目の朝10時前くらいからの運用です。

午前はしばらく430FMでCQを出した後、先月免許を取った1年生の横について430FMの指導&ログ取り係をやっていました。ツイッターのフォロワーの方々ともかなり交信できましたが、挨拶する時間がなかったのが残念です。
1年生もだいぶ慣れてきたので、フィールドデーコンテストでは1人で運用できるでしょう。

午後は144MHzのSSBでCQを出し、CWで一通り呼びまわりをしてコンテストを終えました。

どのバンドもあまり途切れることなく交信でき、なかなか楽しかったです。

交信していただいた皆様、ありがとうございました。