2016年7月13日水曜日

USBケーブルで音質は変わるか?ブラインドテスト

オーディオ界には、思わず「本当か?」と疑いたくなるような音質改善法が多くあります。具体的に何とは言いませんが、中には明らかにおかしいカルトまがいの説をとなえる人もいます。
近年、パソコンを使ったオーディオ鑑賞が普及するにつれ、そのような怪しげな説に新たに加わったのがこちらです。「パソコンとDACを繋ぐUSBケーブルを変えると音が変わる」

「USBケーブルはデジタル信号を伝送しているのだから、途中でそのデータが壊れてしまわない限りは音の変化などあるはずがない。もしデータが壊れたとしてもそれはデジタル的な変化であり、アナログ的な(例えば「高域が云々、低域が云々」という)変化としては出てこない。」
と考える人が多いと思いますし、自分自身そう考えていました。

しかしインターネットで検索してみると、思ったよりこの「USBケーブル音質変化説」は支持を得ています。ただし、単に「交換したら音が変わりました!」といった類の記事が多く、プラシーボ効果の疑いが否定できません。(キチンと調査しているサイトもありますが)

そこで私はこの説の真偽を確かめるべく「オーディオ用USBケーブル」なるものをヤマダ電機のポイントで購入し(効果不明なものに現金は使いたくなかった)、耳の良い後輩にも来てもらってブラインドテストをすることにしました。


というわけで買ってきたケーブルがこちら。ELECOMのDH-AB10です。
このケーブルは新発売のものだそうで、まだネット上でレビューを見られなかったため、先入観の小さいテストができそうです。


パッケージの表には、「金メッキ端子」「99.95%OFC(無酸素銅)」などの売り文句にまじって「デジタル伝送」という至極当たり前のことが麗しく書かれており、若干胡散臭い感じを醸し出しています。ケーブル自体はかなり細く、切れそうで不安です。高級感を出すためなのか、編み込みケーブルになっています。コネクタはパッケージの文句通り金メッキの立派な物が付いています。


比較対象はこれ。
昔のプリンターか何かに付属していたUSBケーブルだと思います。太くて丈夫そうですし両端にフェライトコアまで付いていて、そんなに安物っぽくはありません。



さて、2人ともUSBケーブル音質変化説をあまり信じておらず、どちらかというと「音質が変わらないことを確かめよう」という気持ちでテストに臨みました。

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【被験者】
・当ブログ管理人(JO4EFC)
…理系の大学2年生。アナログ電子回路の知識が少しだけある。第1級アマチュア無線技士。USBケーブルで音が変わるという説には懐疑的。

・E君
…理系の大学1年生。デジタル回路・プログラミング・コンピュータ全般に詳しい。高校時代は放送部に所属。以前、私が判別できなかった2台のアンプの違いを判別したことがある良耳の持ち主。USBケーブルで音が変わるという説には否定的。


【手順】
(1) ひとりがシステムを操作して音楽を流し、もうひとりはUSBケーブルが見えない位置でヘッドホンを使いそれを聞く。音楽を聞いている人は、どちらのUSBケーブルを使用しているか知らされていない。
(2) システム操作係がUSBケーブルを交換し、再び手順(1)を行う。
(3)試聴が終わったあと、使用したケーブルの順番を発表する。感想はまだ発表しない。
(4) システム操作係とリスニング係を交代し、手順(1)から(3)を行う。
(5)全ての操作が終了した後、音の感想を発表する。


【比較したUSBケーブル】
・ELECOM DH-AB10 (長さ1m) 下画像左
・素性不明の汎用USBケーブル (長さ1.5m) 下画像右



【USBケーブル以外の使用機材・環境】
PC: TOSHIBA PT75-78MHXR (OSはWindows 10にアップグレード済)
再生ソフト: foobar2000 (WASAPI排他モード)
DAC: Olasonic NANO-D1 (専用ドライバ使用)
ヘッドホン: AKG K712PRO
音源: Stingの "Lazarus Heart" 44.1kHz 16bitのFLACファイル


【結果(というより感想)】
・当ブログ管理人の感想
DH-AB10と汎用ケーブルでは音質が明らかに違う。特に高音部の差が分かりやすかった。DH-AB10ではシンバルの音がくっきり聞こえるのに対し、汎用ケーブルではどうもぼやけがちである。

・E君の感想(テスト終了後に書いてもらったものをそのまま掲載)
DH-AB10
高音の「ハリ」
ベースの鳴らした後の残響が最後まで聞こえる
解像度がずっと高い

汎用ケーブル
明らかに低音が不自然に消えている
高音が張っていない(全体の音量に対する強さ)
シンバルなどパーカッション系の乱れ(ノイズに近いがまた違う)


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音質が明らかに違いました(2本目を聞き始めてすぐ分かりました)。しかも、私の感想とE君の感想は高音について合致しています。

E君は、私が言葉にできなかった低音部の違いや全体的なことにも言及してくれました。彼も信じられないという面持でしたが、実際に音が変わってしまったのですから仕方がありません。
これをお読みの方の中にはこの結果を疑う方も多いと思いますが、疑うなら実際に聴いてみてください、としか言いようがありません。不思議です。

不思議といってもこれは超常現象であるはずがなく、必ず物理的に説明できるはずです。USBケーブルでは電源ラインと信号ラインが並列に走っていますが、ここで電源ラインから信号ラインにノイズが乗り移ってDAC内部のアナログ回路に影響を与えるということくらいしか思いつきませんでした。しかし今回使ったDACの電源はUSBバスパワーではありませんし、こんな理由で本当に上に書いたような変化が生じるものでしょうか。

とにかく、もっとUSBについて勉強が必要なようです。

5 件のコメント:

  1. twitter経由で来ました。
    私もケーブルごときで、しかもデジタルI/Fで音が変るのには懐疑的です。
    ところが、PCとDACを電気的に切り離すことでの音の変化には驚きました。
    一気にクリアになりました。細かい音まではっきり聞こえるといいますか。

    使ったのは、こちらのページのISO4160です。
    http://www.easyaudiokit.com/bekkan/distr/distr.html

    元々の構成が、PC - (USB) - DDC - (SPDI/F) - DACだったのを、
    PC - (USB) - アイソレータ - (USB) - DDC - (SPDI/F) - DACで確認。
    DACの電源は元からPCとは別なので、電源の影響ではありません。

    機会と興味があったら試してみてください。

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    1. いつもツイッターでお世話になっております。
      ご紹介いただいたページから詳細を拝見しましたが、おもしろそうですね。
      検討してみたいと思います。ありがとうございます。

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  2. 環境次第なのでケーブルによる差が無い場合もあります。

    また、各環境におけるノイズ発生も個々に違うので、一律どのケーブルが良いというのもありませんが、おおむね優秀とされるケーブルは幅広い対応が期待できます。

    ケーブルを変えて音質の変化があるという事は、かなりのデータ転送エラーが発生しているという事です。

    ノイズによるデータ消失はある程度周期的に、ある程度連続したデータを破壊するはずです。

    このとき、もともと、1波当たりの情報量の少ない高音が影響を受けやすくなります。

    以下正しくない説明ですが、イメージとしてはこんな感じ。

    サンプリング44Kで、音声22KHz(以下高音)は、2サンプリングで1波です。
    音声2KHz(以下中音)は、22サンプリングで1波です。

    ノイズで1サンプリング分壊れた場合の影響は高音に出やすいといえます。(50%の破壊)

    また、22KHzの強いノイズが発生し、サンプリング2回に1回、定期的に失敗した場合、高音は半分が壊れるため、失敗して抜け落ちたデータの予測ができません。
    しかし、中音は、その前後のデータからある程度予測し復元する事が可能です。

    したがって、高音の方がシビアに影響を受けるのですが、中音以下だって完全に正しいデータを再生している訳ではありません。

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    1. 返信が遅れましてすみません。大変参考になるコメントありがとうございます。

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  3. フェライトコアがついてると明らかに音質劣化するんでね
    金メッキなしの300円位のUSBケーブルと比較してみるのがいいですよ

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