今回からは、あちこちをいじってできるだけ好みのアンプにしていきたいと思います。
まずはケース加工。タカチのYM-250を使用しました。このYMシリーズはそこそこ安い上にツートンカラーでかっこいいのでよく使います。
外見はシンプルに、前面はヘッドホンジャック・電源スイッチ・ボリューム、後ろには入力端子・ヒューズホルダ・ACインレットと特筆すべきところのない普通のデザインです。
と、ここで問題が(って、ケース買う時点で薄々気づいてはいましたが)。
このケースは内側の高さが47mm程度しかないので、使いたかった6.3V2回路1Aのトランスが入りません。これは仕方がないので、割高でスペースを取りますが1回路の背が低いトランスを2つ使うことにしました。
この時点で全体の写真を撮り忘れていたので中途半端な画像しかありませんが、下のような感じです。下の画像では基板のアースが適当になっていますが、この後ちゃんとしっかり繋ぎなおしています。
トランスとアンプ基板の間にアルミ板の仕切りがありますが、これはハムノイズ低減等の具体的な効果を求めたというよりはファッションですね…ついている方がプロっぽくてかっこいいですから。実際、特に音に関する効果は認められません。
こういうムダをやっても誰も怒らないのが自作の良いところですね。
さて、一応箱に入って落ち着いて聞けるようになったので、いよいよ手を入れていきます。
注)以下の部品番号は、このページ(外部リンク)の回路図に準じます。自分仕様の回路図も一応作ってあるのですが、原典をご覧になる方が良いと思います。
まずは前回の記事に書いた、高音が出ない問題。
高周波がアンプに入らないように、仕様通り(C7, C57) 入力に220pFのスチロールコンデンサを入れてあったのですが、この値がちょっと大きすぎるのが原因と判断しました。
さっそくこのコンデンサを取り払ってみると、やはり思った通り高音が出るようになりました。しかしこのコンデンサ無しではやはり若干不安なので、無線部の部室に転がっていた62pFのマイカコンデンサを付けておきました。これでOKでしょう。
取り外された後の220pFスチコンと、取り付けを控えた62pFマイカコン
次にハムノイズ。常用しているヘッドホン K712PROでは全く聞こえないので問題ないのですが、低インピーダンス高能率のイヤホンではそこそこ聞こえるので退治したくなりました。
このハムはトランスと基板の位置関係を変えてみても変化しないので、電磁波として飛び込んでいるのではなく電源に乗っているリップルが原因と考えました。
そこで、手始めに電圧増幅段の近くにコンデンサを追加する改造(TIPS-10/外部リンク)をやってみました。ちょうど入力カップリングコンデンサを取り付ける場所(C1, C51)が空いていたので、基板のパターンをカットしてここに日ケミ KMG 1000μF/25VとPanasonic ECHU 0.1μFをパラにして取り付けました。
これではハムノイズはほとんど減りませんでしたが、ちょっと音の立体感が増したように感じました。
次に、初期状態では採用していなかった抵抗式リップルフィルタを試すことにしました。
最初にリップルフィルタの音の傾向をつかむべくR80, R81(アンプに供給されるすべての電流が通る箇所)に10Ω 1/2Wの抵抗を入れてみました。使った抵抗は余り物のニッコームRP-24Cです。
これはハムノイズに効果てきめんでしたが、同時に音質もガラッと変わりました。音が遠くなり、良く言えばやさしい感じ、悪く言えばダラダラした感じになりました。私はもうちょっと元気の良い音にしたかったのと、このリップルフィルタで電源電圧が2Vくらい落ちてしまうのも気になり、さすがに却下。
次に、パターンを4か所カットして電圧増幅部だけに2.2Ωを入れてみました。
使用した抵抗はKOAのMF(いわゆる普通の金皮)1/4Wです。これは気に入りました。電圧降下は小さく、ハムノイズもバッチリ消え、音のダラダラ感も悪く感じるほどではありません。むしろ、全体的にガヤガヤしていた音が少し落ち着いて聞きやすくなったという感じ。
ハンダ付けが汚いので画像はありません!
ハムノイズ対策はこれで決定。
次にボリュームの交換です。前回書いたように10kΩ Aカーブでは音量変化が不自然でしたが、試しに部品箱に転がっていた安物の100kΩ Aカーブのものを付けてみると良い感じでした。ただ、安物のボリュームは音質・回したときの感触・左右の音量差などいろいろと難があるので、せっかくだからと良いものを使ってみることにしました。購入したのはソフトンのアッテネータ(100kΩ)。外見は完全にアルプスのミニデテントの模造品ですが中身は全く別物で、チップの金属皮膜抵抗を使った23接点のアッテネータです。ものが大きいと安心感がありますね。ハンダ付けもしやすいし。
このアッテネータの裏にはALPS JAPANと印刷されていますが、さすがにマズいということなのか(?)、手元に届いたときには黒く塗りつぶされていました。
また、最初についていたボリューム(Linkman RD925)との音質差ですが、数日間このアンプの音を聞いていなくて突然交換したのでよく分かりませんでした。交換直前にしっかり聞いておけば分かったかもしれませんね。
ボリュームの交換ついでに、入力端子からボリュームまでの配線材も太いものにかえておきました。最初に使っていたのは古いパソコンから取り出したIDEケーブルを裂いたもので、少々細すぎて頼りなかったものですから。
もうひとつ、ヒートシンクも交換しました。
最初はアルミ板1枚でしたが、交換後は銅板にアルミヒートシンクを取り付けた本格仕様(?)になり、放熱性能がかなり上がりました。
剣山状態です。
ヒートシンクと同じように熱対策として、終段のバイアス電流も減らしておきました。回路図のC10, C60と並列に4.7kΩの抵抗を入れます。
これで、終段トランジスタ1個あたりのバイアス電流は55mAから45mAに減りました。もう少し減らしても良いと思います。
ところで、せっかくヒートシンクを付けて放熱対策をバッチリしたのですが、狭いケースに入れてしまっては効果が半減どころではありません。そこで、ケースに穴をたくさん開けて熱気を逃すことにしました。
最初はパンチングメタルを買ってきてはめようかと思ったのですが、ケースに直接穴を開けた方がスマートでかっこいいと思って実行したのがこちら。
ああ……
ボール盤を使ってこの出来とは、さすがに悲しくなってきます。アルミ板がかなりしなるせいか、思ったように加工できませんでした。経験不足ですね。
しかし、ケースを買いなおすのも嫌なので今回はこれでいきましょう。これも自作らしい味わいということでOK,OK.
次に、空気の対流を促進するため下面にも穴を開けたのですが、この時はもう慣れていたので上面よりマシな出来になりました。
普段見えない下面を先にやって、慣れた所で上面に取り掛かるべきでしたね。これは今後の教訓とします。
意外に長くなってきたので、突然ですが今回はここまでです。
ダラダラとたくさん書いてしまって読みにくい記事になってしまい、すみません。
次回は完成編なのでもう少しはおもしろくなると思います。
つづく
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