自前設計のプリント基板を格安で少量製造してくれる業者は、アマチュアの電子工作オタクにとって大変ありがたい存在です。
この記事では、今までに使ったことのある4つのPCB製造業者について、私の評価と使い分け方をメモしておきます。特記の無い限り、10 cm x 10 cm以内 1.6 mm厚のFR4 両面基板5枚を想定した話です。
この記事の内容は私の経験と主観に基づいたものですから、鵜呑みにせずに適宜各社の公式サイトから最新の情報を入手してください。
PCBGOGO
webサイトや問い合わせが日本語に対応しているので、英語の苦手な人も安心して注文できる基板屋さんです。
支払前にデータチェックがあるのでミスを未然に防げる…と思いきや、ファイルが足りない等の致命的ミスがあっても平気でチェックを通ってしまうことがあります。なかなか製造が始まらなかったので問い合わせ、そこで初めて私のミスを知らされるということが一度ありました。データチェックに頼らず、自分でしっかり確認してから発注しましょう。
リードタイムはデフォルトで「24時間特急(特急費無料)」となっていますが、必ずしもこれは守られません。ただし、大抵2日以内には作ってくれるので、比較的速い業者であることは間違いないでしょう。
自分の基板が現在どの工程にあるのかを把握できるのも良いですね (下画像) 。ついつい頻繁に確認してしまいます。
基板には製造番号が勝手にシルク印刷されるので、見栄えを気にする方は要注意です。
FusionPCB
ここも日本語サイトがあります。5枚OCS送料込みで12.9ドルのセールをやっていた頃によく使っていたのですが、現在(2020年11月12日)セールは行われていないようです。
上記セールを除くと、あまり特徴は無いように思われます。製造はGOGOより遅く、大体3-5日程度という印象です。
基板には製造番号がシルク印刷されます。
Elecrow
日本語サイトはありません。ここは良くも悪くも適当です。
基板にスリットを入れて異種面付けをしても見逃してくれる(代金が上がらない)ので、基本的に異種面付けをしたいときだけ使っています。基板に製造番号が入らないというメリットもあります。
私が変な基板ばかり注文しているせいかもしれませんが製造は遅めで、1週間以上かかることもあります。早いときは4日程度で、納期のバラつきが大きそうです。
発送連絡メールが実際の発送日の翌日や翌々日にくるのは当たり前で、最悪の場合は発送連絡より先に基板が到着することがあります。また、webサイト上のStatus (注文状況) も同様にあてにならず、基板到着後も"Shipped" (発送済) ではなく "In production" (製造中) のままになっていることがあります。
余談ですが「Elecrowに送るガーバーファイルの名前は全て同じにしなければいけない」というのは間違いで、実際はKiCadから出力したファイルをそのまま送っても問題なく製造してくれます。
JLCPCB
とにかく安いことが特徴です。10 cm角の両面基板は2ドル、4層でも7ドル、さらには20 cm角の両面基板が15.5ドルと破格です。
基板には注文番号が印刷されますが、無料で印刷位置指定ができるので、目立つ場所に番号が入る悲劇は回避できます。追加料金を払えば番号無しで作ってもらうこともできるようです。
PCBGOGOと同様に基板の製造工程を教えてくれます。
製造完了からDHLでの発送までなぜか2-3日かかって、製造の速さ (1-2日) が帳消しになってしまうことが多いのが残念です。
安い分、品質は今一つです。電気的に問題があったことはまだありませんが、傷が多かったり、ソルダレジストの塗布が不均一で汚かったり、注文番号の位置指定が無視されたり…不具合があった場合には英語で中国人とバトルする必要があります。注文番号の位置指定無視の件で文句を言うと「電気的には正常だから許してよ、次から気を付けるから」と言われましたが、もうひと押しをすると5ドルクーポンがもらえました。
まとめ
この記事に上げた中なら、どの業者を選んでも良いと思います。今まで各社で合計20-30種類ほどの基板を作ってきましたが、大きな問題は一度もありません。
今回は配送方法については触れませんでしたが、別記事で公開している様々な配送業者のトラッキング記録 (リンク) が参考になるかもしれません。
最後に、私の基板製造業者使い分け法を紹介します。
急ぎ→PCBGOGO
1種5枚のみ→FusionPCB (セール時のみ)
異種面付け→Elecrow
大型基板→JLCPCB
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