主力として使っているΔLOOP10には以前から2種類の中波対策(これとこれ)を施してあり、アンテナ直下のアンプは飽和しないようになっていました。
しかし、主力受信機であるSDRplayのTuner AGCをONにするとHFのあらゆる周波数で中波放送が聞こえてしまう現象は長らく放置されたままで、仕方なくゲインを下げたままで短波を聞いていたのでした…
これまで中波をカットするHPFを導入しなかったのは中波BCLもやりたいと思っていたからですが、二兎を追う者は一兎をも得ず、の諺を思い出し、短波に専念することにして先日ついに導入を決めました。
中波カット用のHPFにはいくつか市販品があるようですが、最初からそんなものに数千円も使う気は一切ありません。
計算ツールのサイトとLTspice(電子回路シミュレータソフト)を使って適当に値を決めて部品を買いました。
最終的に、上図のような回路に決めました。周波数と減衰量の関係(シミュレーション)は下のグラフの緑の実線のような感じ。
さて、実際にこのフィルタを作るとなると、回路本体以外にも金属ケースやコネクタなど様々な部品が要るわけですが、今回はそれらを全部中古(以前作った短波受信用アンプをばらした)で済ませました。そのせいで余計な穴がたくさん開いていたり傷だらけだったりと、なかなかひどい外観になりましたが仕方ありません。
周波数が低いので空中配線でも良かったかと思いますが、念のため生基板をカッターと彫刻刀で削って回路を作りました。あまり出来が良いとは言えない基板なので、写真はアップしません…
こうして手抜きだらけで完成したHPF、さっそくSDRplayに繋いで使ってみました。
1.中波
設定: LNA Off, Gain Reduction 92dB Freq: 1134kHz・HPFなしの場合
・HPFありの場合
HPFによって、文化放送が約65dB減衰しました。ほぼシミュレーション通りの性能です。
2.短波
設定: LNA Off, Gain Reduction 62dB Freq; 9880kHz・HPFなしの場合
・HPFありの場合
ほとんど差はないようです。
3.超短波(FM放送)
設定: LNA Off, Gain Reduction 62dB Freq; 81.3MHz・HPFなしの場合
・HPFありの場合
これもあまり違いを感じませんね。
というわけで
これで今後の短波受信がより快適になると思います。
2016/05/09追記
無線部室から回収してきたデータを以下のグラフに示します。
アンテナアナライザ MFJ-259と自作ダミーロード(50Ω)を使って測定しました。
ダミーロードの特性が悪いため、HPFの実際の特性は下のグラフより良いと思います。
グラフ1 インピーダンスとリアクタンス
グラフ2 SWR