2017年10月29日日曜日

8cmフルレンジユニットでスピーカーを作った

かなり今さら感がありますが、つい先日「これならできる特選スピーカーユニット フォステクス編 (ONTOMO MOOK)」を買ってきました。


フォステクス製のOMF800Pという8cmフルレンジユニットと、ちょっとした冊子が入って定価4,968円。大学の生協で買ったので1割引で4,471円でした。

これを使って早速小さいスピーカーを作ります。今回設定した条件は以下の3つ。
・机の上に置ける程度のサイズ
・製作が簡単
・音がそこそこ良い
これらを考慮して、小型のスリットバスレフに決めました。

まずspedというソフトで簡単なシミュレーションを行います。
結局、長岡鉄男氏のBS-8を参考にしてほぼ同じものを作ることにしました。私のような初心者がいきなりオリジナルですごいものを作ろうとすると大抵失敗するので、真似から始めるのが一番です。
BS-8では14mm厚の板が指定されていますが、そんなものは身近にないので15mmを使うことにしました。このサイズのスピーカーで15mmは割と分厚いほうだと思います(例えばFostexのP-800Eは9mm)。

設計が決まったので、さっそく東急ハンズに買い出しに行きました。台風21号の風雨の中でしたが、思い立ったが吉日というやつです。
910×300×15mmのMDFを購入し、直線カットをやってもらいました。カットは1回につき54円です。

ユニット用の丸穴は、無線部室でボール盤と自在錐を使って開けました。
東急ハンズで丸穴を開けてもらうこともできたのですが、少しでも節約ということで…

ユニットの着脱が繰り返しできるように、板に鬼目ナットを埋め込んでみました。

組立ては木工用ボンドのみで行いました。さすが東急ハンズ、カットの精度はバッチリです。
バスレフポートの出口には、カッターナイフとやすりを使って自分でRを付けました。少々の個体差を気にしてはいけません…

上の画像のところまでできたら、側板をF型クランプで仮どめして試聴します。内部に入れる吸音材の位置と量を調整するためです。

↑試聴中のようす。普段CM5S2を載せているスタンドを使っているので、かなりミスマッチに見えます。

いろいろ試してみた結果、下の画像のように両側面、上面、背面上部に吸音材を配置することにしました。
音の躍動感を損なわず、バスレフ効果を阻害せず、かつ余計な付帯音を出さないように…というのは結構難しいですね。適当なところで妥協してしまいました。
ちなみに、今回使った吸音材はジャンクの既製品スピーカーから抜き取ったものです。

吸音材の調整が済んだらあとは側板をくっつけるだけ!
いちおう完成です。
2~3時間ほど鳴らしてみましたが、なかなか良い感じです。
変な癖は小さいようで、躍動感があって楽しく聞けます。8cmフルレンジ1発ですから低音は出ませんが、ポップスならあまり気になりません(オーケストラなどは当然無理)。
高音に多少キツいところがあります。空間は平面的です。
これからしばらく鳴らしてみて、どう変わっていくか楽しみです。

今回使った材料をまとめてみました。
材料 購入場所 価格
スピーカーユニット 大学生協書籍部 \4,471
スピーカー端子 千石電商 \500くらい?
MDF
910*300*15mm
東急ハンズ
池袋店
\1,917
(うち加工費\594)
M4*10mm 鬼目ナット どこかのホームセンター \200くらい?
M4*15mm ネジ どこかのホームセンター \100くらい?
木工用ボンド ダイソー \108
買い置きがあったものについては価格が曖昧ですが、だいたい7000円くらいで作れたことが分かります。

使った道具は以下の通りです。
道具 今回の用途
ボール盤 穴開け
自在錐 穴開け
F型クランプ 接着時の固定
レンガ 接着時の重し
カッターナイフ R加工
六角レンチ 鬼目ナット取り付け
プラスドライバー ユニット取り付け
紙やすり 仕上げ


このスピーカーの置き場所を考えなければ…

(2017/11/26 追記)
ダイソーの100円水性ニスでサッと塗装しました。
さらに、底に鬼目ナットを埋め込んで仰角を付けられるようにしました。
TDA7492アンプを繋いで鳴らしています。

2017年10月14日土曜日

オーディオ用DACの出力波形を観察する

音源のサンプリング周波数やDACの設定によってDACの出力波形がどのように変化するか気になったので、早速実験で観察してみました。

実験装置の概要図は以下の通りです。

まずパソコンにインストールしたWaveGeneという信号発生フリーソフトで1kHzの矩形波を発生させ、USBケーブルでDAC(Pioneer N-70A(改))に送ります。
DACの出力は0.6mのRCAケーブルで取り出し、そのケーブルを10kΩの抵抗(アンプの入力インピーダンスを想定したもの)で終端します。その抵抗の両端にオシロスコープのプローブ(x10)を取り付けて測定します。
DACの型番末尾の(改)の由来は、出力カップリングコンデンサをバイパスする改造を施してあることです。

1. サンプリング周波数

まずは音源のサンプリング周波数を変えてみました。
音源のビット深度は以下全て16bitで、DACの設定はデジタルフィルターがSHORT, ロックレンジが4, DIRECTモードです。(※24bitも試してみましたが、今回は大きな信号を使っているためか全く違いが出ませんでした。微小信号でテストすれば違いが観測できるかもしれませんが…)

1.1  44.1kHz

Rise Time=29.00us, Overshoot=24.08%
けっこうリンギングが激しいですね。


1.2  96kHz

Rise Time=14.50us, Overshoot=23.55%
リンギングは少し落ち着いて、立ち上がり・立ち下がりが鋭くなりました。
※上の画像(横軸100us/div)ではRise Timeが読めないので、横軸を20us/divに変えて表示された値を記しました。以下同じ


1.3  192kHz

Rise Time=7.300us, Overshoot=21.68%
ますます理想の矩形波に近づいています。


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2. デジタルフィルター

N-70Aでは、3種類のデジタルフィルターを選ぶことができます。
N-70AのDAC IC(ES9016)のデータシートは公開されておらず、それぞれのフィルターがどんな特性になっているのかはよく分かりません。
というわけで、このデジタルフィルターを変えて波形を見てみましょう。
サンプリング周波数は44.1kHzに戻します。

2.1 SHORT(これまでと同じ)

Rise Time=29.00us, Overshoot=24.08%
矩形波をアナログのDCアンプに通したような自然な波形です。17kHz(多分)のリンギングがあります。


2.2 SHARP

Rise Time=8.600us, Overshoot=15.61%
21次の高調波(21kHz)がはっきり見えています。それより上の周波数はスパッと"SHARP"に切られているようです。立ち上がりはSHORTよりも大分速いですね。


2.3 SLOW

Rise Time=7.800us, Overshoot=12.33%
リンギングが少なく、立ち上がりは最も速いです。
SLOWというのはフィルタの特性がなだらかという意味なんでしょうね。

---〈試聴〉---
この実験のあとで、改めて3種類のフィルタを切り替えながら比較試聴をしてみました。
音源はNASに保存したNorah Jonesの"It's A Wonderful Time For Love"(44.1kHz 16bit)で、設定はDIRECTモード・ロックレンジ2としました。
SLOWは柔らかくやさしい音、SHARPはガッチリと芯がある硬質な音、SHORTが最も特徴のない音に聞こえました。試聴の感想が波形を見て受けた印象と違っていておもしろいです。
何度か聞き比べをしていたら、画面を見ず適当にリモコンでフィルターを変えてから聴いてもどのフィルタを使っているかわかるようになりました。
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3. アップサンプリング

最後に、アップサンプリングを試してみます。「最大384kHzまでサンプリングレートをアップさせることができる」機能だそうです。

3.1 アップサンプリングON

Rise Time=18.50us, Overshoot=13.28%
比較対象は2.1の画像です。
このときのフィルターはSHORTなのですが、SHARPを選択した時と似た波形になりました。
19次の高調波(19kHz)が見えています。

---〈試聴〉---
上と同じ音源、ロックレンジ4・SHORTフィルターでアップサンプリングの有無の比較試聴をしました。
アップサンプリングをONにすると多少音がおとなしくなったような印象を受けました。
波形からはSHARPフィルターと似た音が予想されましたが、またしても違う感想になりました。まあ、試聴の感想には機器以外の要素(筆者の体調など)も関係してくるので話半分に読んでください。

ちなみに、デジタルフィルター試聴時と同じロックレンジ2のままでアップサンプリングを使うと音がブツブツ途切れました。アップサンプリングを使うためにロックレンジを大きくする必要がある(=音がボケる)というのは残念であり、それだけでアップサンプリングを使う意義が薄れてしまう気がします。
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さて、実験はこれで終わりです。
サンプリング周波数による波形の違いは大体予想通りでした。
一方、意外に思ったのは、波形の立ち上がりが最も速いSLOWフィルターの音が柔らかく聞こえたことです。聴感上の立ち上がりの速さと波形の立ち上がりの速さは別物なのでしょうか。

今回は矩形波だけでしたが、インパルスを与えて出力波形を見てもおもしろいかもしれません。


2017/10/15 コメントを受けて、bit深度の影響とアップサンプリング使用時の試聴結果について加筆

2017年10月3日火曜日

オシロスコープを買った

RIGOLのオシロスコープ DS1054Zを購入しました。amazonで52,461円。定番機種なので、詳しいスペック等は省略します...



メーカー名が大書された箱で届きました。梱包はしっかりしています。
真新しい電子機器特有のにおいがたまりません。



プローブ4本、電源ケーブル、USBケーブル、取扱説明書(英語・中国語)が付属していました。ちなみに、この説明書に載っているのは基礎的な使い方だけです。詳しい取扱説明書はweb上にあります(日本語)。

見た目や操作感のチープさもあまり無く、良い感じです。
早速プローブを校正しました。




カラー画面のおかげで、今まで使っていた無線部室のTektronix TDS320よりもかなり使いやすいように感じます。
それに、薄っぺらで(奥行き12.2cm)、軽い(3kg)のも嬉しいところです。机に置いても邪魔にならず、持ち運びも楽々。

オシロ本体にUSBメモリをさして、ボタンひとつで画面キャプチャできるのにも感動…

もう布をかぶってオシロの画面を撮影する手間ともおさらばです。

届いてから10日ほどですが、このオシロのおかげで早速電子工作がはかどっています。
まだ使っていない機能もたくさんあるので、ぼちぼち慣れていこうと思います。あの有名な性能アップの裏技は試していません。

2018年1月17日追記
もうオシロなしでの電子工作など考えられない体になってしまいました。

2017年10月1日日曜日

aitendoのジャンクDSPラジオ

9月27日、あると思っていた講義が無かったので秋葉原に行ってきました。
開店直後のaitendoに行くと…



1階の外で展示見本品と開発実験機の処分セールをやっていました。
しばらく漁って、この2つをゲットしました。


aitendoの定番キットであるDSPラジオ、DSP9620(紫の基板)とK-6955V2D(緑の基板)の完成品です。なんと1個108円!こんな破格の値段で売っているからにはどうせ動作しないんだろう…と思いましたが、動作するor修理できるという可能性に賭けて買ってみました。

で、帰って試してみると案の定2台とも正常には動作しませんでした。
緑基板のほうはロータリーエンコーダを回しても周波数が変わらず画面表示もおかしい状態、紫基板のほうは全ての操作を受けつけない状態でした。

やはりダメか、部品取りにするか…と思いつつ、まずは緑基板ラジオをあちこちいじっていたら、基板に力を加えると時々正常に動作することに気づきました。
さてはどこかのハンダ不良か、とルーペで調べてみると、ICが怪しいようでした。

0.65mmピッチのAKC6955というICです。特に1~12pinのハンダ付けがうまくできていないように見えたので、0.3mmのハンダを使って修正しました。
さらに、もうひとつのIC(MC96F6432Qというマイコン; 0.8mmピッチ)のハンダ付けもダメそうだったので同じく修正しました。
なんと、これだけでちゃんと動作するようになりました。やったぜ。


FMはなかなか感度が高いようで、アンテナを繋がなくてもけっこう入感します。
しかし、中波はなんとアメリカ仕様の10kHzステップであり日本ではほとんどまともに使えないでしょう…と思っていたら、中波受信中にMWボタンを押すと9kHzステップに変更できることがちょうど今分かりました。問題なく受信できているようです。



短波も聞けるようですがまだ試していません。

最後に注意点をひとつ…このラジオは0.5Wのオーディオアンプを内蔵しているのですが、基板左に付いているミニジャックの出力はDCカットされていないので直接イヤホンやスピーカーを繋ぐのはNGです。
1000uFのコンデンサを挟んで小さなスピーカーを繋いでみましたがなかなか良い感じでした。

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さて紫基板のラジオについても調べてみたところ、2つある水晶発振子のうち1つが発振していないことが分かったので、こちらもそのうち修理してみたいと思います。

2017年8月8日火曜日

フィールドデーコンテスト移動運用

大学の無線部でフィールドデーコンテストに参加するため、群馬県某所に行きました。
今回は参加人数がたったの4人!ということで、昨年までの車2台体制(ハイエース+小型車)をやめてタウンエース1台にしたり、運用するバンド数も絞ったりと全体的に規模を縮小した移動運用としました。そのためコンテストで好成績を狙うことは困難になったので、成績より楽しさを追求することをコンセプトにしました。
ということで、行動を時系列で紹介します。自分の備忘録代わりでもあります。

8/4(金)
朝9時すぎに車を借り、荷物を積み込んで大学を出発!
高速道路で事故渋滞に巻き込まれてだいぶ時間をロスしましたが、午後早くに運用地に到着しました。
車から荷物をおろすと、すぐ設営班と買い出し班に分かれて動くことに。私は買い出し班として、食料や雑貨を買うため車を運転して一旦下山しました。
買い出しから戻ると設営班がテントやタープを建ててくれていました。この日はコンテスト前日ということであまり本格的に準備をする必要もなかったので、2人ずつに分かれてふもとの温泉につかりました。
温泉から戻るとバーベキューです。


野菜炒めも作って大変健康的ですね。
あと、やはり本格バーベキューにはワインが一番です。ビールだと炭酸のせいですぐ満腹になってしまいますから…
その後は何もすることが無いので、22時頃にはテントに入りました。が、その直後に不審な車がすぐ近くにやってきてエンジンをかけたまま停車…木立にさえぎられてその車が見えないのが逆に不安で、結局起きて真夜中近くまで外に座ってました。
不審な車は午前1時頃に帰っていったそうです。まあ相手から見ればこちらも相当不審なんですが。

8/5(土)
5時半に起床。簡単な朝食をとって、6時半から機材の設営を始めました。昨年は3.5MHzから5.6GHzまであらゆるバンドのアンテナをたてましたが、今回はかなり絞って7MHzと21MHzのDP、50MHzのHB9CV、144MHzと430MHzの八木だけにしました。無線機もHF&50MHz用と144/430MHz用の2台だけです。
この運用地は4回目で慣れていたこと、バンド数を減らしたこと、涼しくて作業しやすかったことなどが功を奏して、なんと10時には設営が終わってしまいました。例年は午後までかかっていたので拍子抜けしました。
ここで2人がまた買い出しに行き、食料を追加購入してきました。
で、昼からまたバーベキューです。

この日のバーベキューは食材のバラエティも豊かで大変良かったです。この後運転しないといけなかったためお酒を飲めなかったことだけが残念ポイントでした。

バーベキューが済んだらしばらくのんびりして、15時頃からまた2人ずつ温泉に行きました。
温泉の帰りに農産物の直売所に寄ってトマトと250円のスイカを買ったら、なんとオマケとして同じスイカをもう1つ頂いてしまいました。トマトは素朴で濃厚な味で大満足でした。もちろんスイカもおいしかったです。
他にもいろいろな野菜が東京の数分の1の値段で売られていたので、群馬に引越したくなりました。

18時からはいよいよコンテストです。私は最初の144/430MHzを担当しました。今回は事前にCQを出して周波数を確保するなどの工夫をしなかったので出足は低調でしたが、144MHzのSSBとCW、430MHzのFMでまあまあ楽しめました。

1時間半ほど運用してマイクを後輩に譲り、テントから出るとまたまたバーベキューです。この時は本格バーベキューではなくおつまみバーベキュー。ビールを飲みながら焼き鳥や魚のみりん漬けをつまみました。遠くの花火大会も見えて最高の気分でした。

強力なLEDランタンが2つあったおかげで夜も快適でした。
この後、深夜2時くらいまで運用した人もいたようです。

8/6(日)



朝は霧が深かったです。上の画像は144/430MHzの八木ですが、ローテータを使わず東京向けに固定しました。こういう雑な簡略化が設営時間短縮に繋がります。
6時前には起きて食事をしたのですが、その後2泊3日の疲れが一気に出たようで全く運用せず11時半くらいまでほぼ寝ていました。コンテスト運用は3人で回していたようで、申し訳なかったです。
正午にコンテストを終え1時間半ほどで撤収して、前日・前々日とは別のちょっと豪華な温泉に行きました。そこで遅い昼食をとってのんびりして、16時頃に帰路につきました。
心配していた通り関越道の渋滞がひどく、ようやく車が流れるようになったと思ったら豪雨に襲われるなどなかなか辛い行程でした。ようやく大学にたどり着いたのは4時間後。荷物を降ろし、車を返却して無事解散です。

8/7(月)
朝イチで登校し、レンタル発電機を強引に自転車に載せて返しに行きました。
安物の自転車が走行中に分解しないか不安でしたが何とか耐えてくれました。
これにてフィールドデー移動運用は全て終了、安心して3時間も昼寝してしまいました。
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今回のフィールドデーコンテストは、得点こそもちろん高くなかったものの、生活面が充実していたためなかなか楽しめました。このようなゆるい移動運用もいいものですね。

2017年6月3日土曜日

SHARPの1bitアンプで遊ぶ(2)

前の記事に続いて、1bitアンプです。
最終的にはジャンクミニコンポからアンプのモジュールだけ取り出し、別のケースに入れて動かしたいと思っています。その準備として今回はモジュールの定格などを調べます。

まずこのモジュールについていくつか簡単な測定をしてみた結果、以下のようなことが分かりました。
・ゲインは18dBくらい
・入力インピーダンスは2.8kΩくらい
・出力はBTL
・34V(非安定)、9V(安定)、5V(安定)の3種類の電源を使っている

電源が3種類必要ですが、いずれも正電源なので自作してもそんなに手間ではないでしょう。
基板のパターンを追ってみると、5Vは⊿Σ変調ICに、34Vは終段のICに使われているようでした。9Vはよく分かりません。
あとは…入力インピーダンスが少々低めなのが気になりますね。もともとミニコンポの中のプリアンプに接続して使うモジュールなのでそういう設定になっているのでしょうが。

測定が一通り済んだところでモジュールをミニコンポから外しました。


入力インピーダンスを上げられるかどうかと、出力のLPFの構成を知りたかったので基板のパターンを追ってみました。
入力部の回路
上の図はモジュールの信号入力端子から⊿Σ変調ICまでの回路ですが…入力インピーダンスが低めになっている原因は上の図のR1ですね。ここを大きくすればインピーダンスは上がりますが、ゲインも一緒に上がってしまうので注意が必要です(ゲインを上げたくなければR2も大きくする)。もう面倒なのでこのままでいいです…
あと、RV1(半固定抵抗)は出力のDCオフセット調整用です。


出力LPF
高周波のノイズをばら撒かないよう、出力にはLPFが付いています。L1とL2はフェライトビーズ、L3, L4, T1はトロイダルコイルです。インダクタンスは実測値です。
ここまで書いて気づきましたが、上の2つの回路図の部品番号は実際の基板に印刷されている番号とは違います。せっかくなので合わせておけばよかったですね。

実物はこんな感じです。

こちらはアップ画像。

ついでに電源電圧についてもちょっとテストしてみましょう。
このモジュールに必要な3種類の電源のうち34Vのものは電圧に融通がかなりきくだろうと思ったので、どこまで電圧を下げられるか試してみます。

まず下の動画は元とほぼ同じ電圧でモジュールを動かしたときのものです。小音量ですが、かなり電流が流れていることが分かります。デジタルアンプらしからぬ大食いですね。発熱もかなりあります。
ちなみに電源ON時のポップノイズがけっこうひどいです。OFF時は全く無し。



ここからどんどん電圧を下げていくと…


12Vでもちゃんと動作しました。発熱も減っていい感じですよ?
この時9Vを作るのに使っていた三端子レギュレータの動作の都合上、これ以下の電圧では実験しませんでした。
しかしここまで電圧を下げても動くということは、ノートPCなどの適当なACアダプタも幅広く使えるということですから便利ですね(最大出力は当然小さくなりますが)。

さて、1bitアンプモジュールのおおまかな扱い方が分かったところで今回は終わりです。
このモジュールは今後気が向けば適当なケースに入れて使ってみるかもしれませんし、気が向かなければ押し入れの中に放置されることになるでしょう。

2017年6月1日木曜日

SHARPの1bitアンプで遊ぶ(1)

お久しぶりです。

最近、4MHzの発振回路がどうしても発振しないなあと悩んでいたのですが、最終的に4MHzが自分のDMMの測定可能周波数を大きく超えていることに気づきました。DMMのスペックを1ケタ勘違いしていたようです。

で、その発振回路を何に使うかは置いといて、今日は別の話です。

SHARPの1bitデジタルアンプを搭載したミニコンポ(CD再生不可のジャンク)を入手しました。SD-CX9という機種です。

画像の上段がSD-CX9


この1bitデジタルアンプというのはなかなかおもしろいのです。一般的なD級アンプはPWM(パルス幅変調)なのですが、この1bitアンプはその名の通り1bitのPDM(パルス密度変調)を使っています。DSDという音楽ファイルの形式がありますが、あれと同じですね。具体的にはアナログの入力信号の微分値の大きさ(傾き)をパルスの頻度で表すということです。たぶん。
SHARPは1998年に1bitアンプを発表し翌年には発売しましたが、2006年の製品を最後にこの1bitアンプをやめてしまったようです(というか、オーディオ事業自体ほぼやめてしまった)。

ボリューム操作部の"⊿Σ 1BIT TECHNOLOGY"の文字がそそりますね^ ^

さてこの個体、経年劣化のためかCDが読み込めないという故障はありますがアンプとしての機能は正常のようです。早速AUX端子を使って試聴してみました。…が、異常に低域が盛り上がっています。明らかにイコライザがかかっている感じです。いろいろ調べたところ、どうもこの機種で低音ブーストを解除するにはリモコンの操作が必要らしいのですが、残念ながら私が入手した時点でリモコンは失われていました。
このままでは使い物にならないので、とりあえずフタを開けてみましょう。


メイン基板は両面基板でなかなか立派な感じです。この基板の下にCDプレーヤー、MDプレーヤー、ラジオチューナーの各モジュールと電源トランスが隠れています。そして画像右下のシールドされている部分が1bitアンプのモジュールです。
イコライザーはこの1bitモジュールより前の段でかかっているでしょうから、1bitモジュールに直接信号を入れればフラットな特性の出力が得られるだろうと考えました。

そこで1bitモジュールの入力を探って信号を入れてみると…思った通りイコライザの影響は無くなりました。ここでようやく音質評価ができる段階になったわけですが、どうも思ったより良くありません。ユルい、ぬるい音という感じで、封を開けたまま1週間放置したキャラメルコーンを食べた時のような何とも言えない気持ちになります。

ここで1bitアンプに対する興味が失われかけたのですが、まあ参考用にでもと思いもう少し探ってみることにしました。
次回はこのモジュールの特性や回路をすこし調べてみます。

2017年4月1日土曜日

スピーカースタンドの自作

今まで適当な台の上にスピーカーを置いていたのですが、不便なのでスピーカースタンドを自作しました。

ネットで調べたり、オーディオ店に高級スピーカースタンドを見に行ったり、余った木材を使って数種類のスタンドを仮組みしたりした結果、最もオーソドックスな1本足の木製スタンドを作ることにしました。

早速ホームセンターへ買い出しに出かけます。

スーパービバホーム豊洲店。東京23区内では最大級のホームセンターではないでしょうか。
ここで21mm厚のシナランバーコア(1820mm×910mm)を1枚購入。5000円くらいでした。ラワンやMDFの板のほうがかなり安いのですが、ここは見た目・加工性・音質(の評判)を重視した選択です。
この店でカットもしてもらったのですが、担当の方に渡す図面をその場で手書きすると間違えそうだったので、あらかじめCADで描いておいた図面を印刷したものを渡しました。時短にもなりますし、店員の方にとっても手描きの図より見やすいのではないかと思います。
切ってもらった木材は思ったより重く、電車で持って帰るのはなかなかの苦行でした。

さて、製作途中の画像を完全に撮り忘れていたので突然完成します。


高さは約70cmです。
支柱は4枚の板を接着剤で貼り合わせて作った中空のもので、中には水槽用の小石を詰めてみました(下画像)。本格的なスタンドでは鉛の粒やジルコンサンドを使うようですが、今回はケチってしまいました。

上下の板と支柱は鬼目ナットを使って接合しました。これは取り外し可能なので、スピーカーを買い替えても常に最適な大きさの天板を用意できます。

肝心の音質も、適当な台を使っていたころと比べると低音と高音の伸びや定位の改善を実感することができ満足です。現在は直置きではなく、スタンドとスピーカーの間にインシュレーター(オーディオテクニカ AT6098)を挟んでいます。

このスタンド用の木材だけ切り出したのでは元の合板がかなり余ってしまってもったいないということで、余分はオーディオラックの側板にしました(天板と底板は別の時に買ったラワンランバーコア材)。こちらも頑丈で良い感じです。