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2021年9月18日土曜日

ES9028PROを使ったDACの設計と製作

ESS社のES9028PROを1個使ったオーディオ用DACを作りました。

ESSのDACというとフラッグシップES9038PROが注目されがちですが、ES9028PROは9038PROとほぼ同じ仕様で出力電流だけが1/4となっており、回路設計がやり易いのが嬉しいところです。今回は簡単な非同期のSlave modeで動かしています。

2021年8月10日火曜日

ラズパイで作る小型ネットワークオーディオプレーヤー

 ラズパイを使って、デジタル出力専用のネットワークオーディオプレーヤーを作りました(下の写真の最上段)。USBメモリやNASに入っている音楽を再生したり、ウェブラジオを聞いたりできる便利な機器です。


2021年7月26日月曜日

TPA3244×2 D級オーディオアンプ

 TPA3244を1チャンネルにつき1個使ってステレオアンプ基板を作りました。最近話題のALLPCBの無料基板です。


出力LPFのインダクタはデジタルアンプ用として売られているサガミエレクの7G14Cです。
表面実装フィルムコンデンサとしてPMLCAPとECHUを使っています。本当はサイズの小さいPMLCAPに統一したかったのですが、入手性の都合で二種混合になりました。

回路図は下の通り(クリックで拡大)。ほぼデータシート通りです。
2個のTPA3244の13, 14ピンをそれぞれ接続してクロックを同期させています。


もっと大きな回路図の画像はこちら→https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjcOyqzTPu_-FbAc1rlf6N8VoyDHScE7duL4eOu-OMQsE12o0UWwH56ef08mZrLtnO0yFk9sA8sAXE9wVHjID9-EdBcfwoB2qEmi22rp-5pYjkHVj15DSTXahX1ovy0kW9dMf3oSg98a7U/s3162/TPA3244_2.png

実家用に、AK4495 DAC・TPA6120ヘッドホンアンプと組み合わせてコンパクトにまとめました(内部配線が多すぎ&ぐちゃぐちゃで恥ずかしい...)。


発熱が多いので放熱は必須です。私はクールスタッフ(放熱フィルムの一種)を通じてアルミケースに熱を逃がしています。

音が案外好みだったので自分用にも1台作ることにしました。

2020年5月10日日曜日

2020年4月8日水曜日

ディスクリート電流帰還ヘッドホンアンプ&ミニパワーアンプの製作

昨年末に作った電流帰還パワーアンプの基板が余っていたので、ヘッドホンアンプ兼ミニパワーアンプを自作してみました。

アンプ基板

回路図

2020年3月22日日曜日

AK4495 DACの設計と製作 (4) ケース組み込み・測定

AK4495 DACシリーズとりあえず最終回です。
これまでの記事:
AK4495 DACの設計と製作 (1) 構想
AK4495 DACの設計と製作 (2) DAC基板
AK4495 DACの設計と製作 (3) DIR9001 DAI基板

AK4495基板・DIR9001基板・CM6631A基板・電源基板・トランス2個をタカチのアルミケースYM-250に入れました。



まずは正弦波を見てみましょう。

AK4495 DACの設計と製作 (3) DIR9001 DAI基板

AK4495 DACシリーズ第3回、今回はDIR9001を使ったS/PDIF→I2S変換です。前回はこちら→AK4495 DACの設計と製作 (2) DAC基板
さっそく回路図です。

基板は秋月のC基板と同じサイズ(47×72mm)で作りました。ケース内の配置の関係上、低背にすることを心がけてみました(って、元々そんなに背が高くなる要素はありませんが)。ハンダ付けがやりやすいようにDIR9001用のパッドを少し長くしたら、長すぎてブリッジを起こしやすくなってしまい逆に難しかったです。過猶不及…


・S/PDIF入力
DIR9001はS/PDIF入力を1つしか持たず不便なので、4回路3ステートバッファの74VHC125を使った切替回路を付けて4入力を受けられるようにしました。

同軸ケーブルで送られてきたS/PDIF信号は、パルストランスで絶縁されたRCA IN端子(回路図左上)に入力されます。同軸ケーブルの特性インピーダンスに合わせて、トランスの2次側は75Ωで終端されています。この信号は0.5Vppしかないため、そのまま74VHC125に入力しても反応してくれません。しかし、わざわざ別のICを付けて増幅するのは面倒なので、図中のRV1とR2を使って適当な直流バイアスをかけてやり、74VHC125のスレッショルド付近まで信号を持ち上げることにしました。少々強引ですが、これで74VHC125がちゃんと信号に反応しバッファとして働いてくれるようになります。

RCA INの下のOPT INには光ケーブルで送られてきたS/PDIF信号を入力します。今回使った光受信モジュール(PLR135/T10)はきっちり電源電圧いっぱいの信号を出力してくれるので、バイアスをかけるような小細工なしに切替回路にぶちこめます。やったぜ。

・DIR9001まわり
DIR9001にS/PDIFを入力すれば、あとはほぼ何も考えなくてもI2Sが出てくる…というのは言い過ぎでしょうか。

DIR9001は出力フォーマットとMCLKの周波数をそれぞれ4通りの中から選択できます。全てピンヘッダとジャンパーピンで設定できるように基板を設計しました。

PLLのフィルタ部分(回路図のC2, C4, R3)には多少気をつかっており、チップフィルムコンデンサ(ECHU)と薄膜抵抗を使っています。また、データシートの指示通り、この部分のGNDは他の部品のGNDと混ざらないよう直接DIR9001のAGNDピンに戻しています。

24.576MHzの水晶が付いていますが、この水晶の発振を元に出力信号のクロックを生成するわけではないので、精度やジッタに気をつかう必要はありません。適当な安物でじゅうぶんです。

リセット端子(DIR9001のpin21)をプルアップする抵抗がないことに気付いた読者の方がいるかもしれません。この端子はDIR9001内部でプルアップされているので、これで問題ありません。

・電源
全て3.3Vです。DIR9001とそれ以外に分けて、NJM2863F33を2個使用しています。DAC基板と同様、チップフェライトビーズ(BLM18RK102SN1D)も多用しました。

・AK4495との組み合わせ
AK4495のデータシートにこんな記述があります。

「MCLK= 256fs/384fsのとき、Auto Setting Modeは32kHz~96kHzのサンプリングレートまで対応します。32kHz~48kHzのサンプリングレートでは、MCLK= 256fs/384fsでのDR, S/Nは、MCLK=512fs/768fsの時に比べて3dB程度劣化します。」

この情報は見逃せません。しかも、DIR9001のMCLKを512fsか768fsに設定すればいいだけの話ではないのです。というのも、下の表のとおり…

AK4495は、fs=88.2kHz以上ではMCLK=512fs/768fsに対応していないのです。
つまり、
fs=44.1kHz or 48kHzではMCLK=512fs
fs>48kHzではMCLK=256fs
と切り替えるのが良さそうです。これをDIR9001側で実現するのは、実は簡単です。
この回路を後付けするだけです。
fs=44.1kHz or 48kHzのときだけLになるFSOUT1をトランジスタで反転させ、DIR9001の内部でプルダウンされているPSCK1に接続します。PSCK0はHに固定しておきます。


こうすれば、上に挙げたように
fs=44.1kHz or 48kHzではMCLK=512fs
fs>48kHzではMCLK=256fs
が実現できます。
ただし、実はこの方法だとfs=32kHzのときにもMCLK=256fsになってしまうのですが、そもそもサンプリング周波数32kHzの音源など聞かないので無視していいでしょう(動作しないわけではありませんし…)。
ユニバーサル基板とSMDでコンパクトに実装してみました。

動作もバッチリです。

次回はDAC基板とDAI基板、さらに電源等を合わせてケースに組み込みます。
次回→AK4495 DACの設計と製作 (4) ケース組み込み・測定

2020年3月21日土曜日

AK4495 DACの設計と製作 (2) DAC基板

AK4495 DACシリーズ第2回です。初回はこちら→AK4495 DACの設計と製作 (1) 構想
今回は、この作品の根幹であるDAC基板を作ります。CM6631AとDIR9001からのI2S信号を入力しアナログ信号を出力する基板です。

こんな回路を考えました(回路図をクリックで拡大)。

回路図の高解像度版はこちらのリンクでご覧ください

・入力
CM6631AとDIR9001から送られてくる2系統のI2S信号を74AHC157(4回路2入力マルチプレクサ)で切り替えてAK4495に送り込みます。CM6631AからのI2S信号は、パソコンからのノイズを少しでも防ぐためSi8660で絶縁しておきます。

・出力
AK4495から出てきたアナログ信号はオペアンプによるLPFを経てバランス出力、あるいは更にオペアンプで差動合成されてアンバランス出力されます。LPFのカットオフ周波数は約150kHzとかなりユルめに設定してあります。

・制御
ATmega328P-AUというマイコンでAK4495とI2C通信を行い、デジタルボリュームやデジタルフィルタの制御を行います。ボリュームの制御には、電源電圧を可変抵抗で分圧しマイコン内蔵ADCに読ませるシンプルな方式を使いました。デジタルフィルタもシンプルに、ジャンパーピンでハードウェア的に設定できるようにしました。

マイコンを水晶ではなく約8MHzの内蔵CR発振で動作させたり、I2Cのプルアップをマイコンの内蔵プルアップ抵抗に任せたりして部品点数を少し削減しました。

・電源
DAC ICは3.3Vと5Vが混在、マイコンとアイソレータは3.3Vです。ノイズに気をつかうところにはNJM2863を使い、どうでもいいところ(マイコンなど)には普通の三端子レギュレータを使うことにしました。NJM2863は出力インピーダンスがあまり低くないため電流が激しく変動するような箇所には使いたくないのですが、ちょっと実験してみたところ音楽再生中のAK4495の消費電流変動はほぼ無さそうだったので大丈夫でしょう。また、いずれにせよ高周波ではレギュレータの能力にはあまり期待できないので、コンデンサによるデカップリングは重要です。DACまわりにはチップフィルム(ECHU)とチップタンタルを山盛りにしてみます。

オペアンプの電源は±15Vです。例によって「通電してみんべ」さん考案のディスクリートレギュレータを採用しています。


さて、正月休みに実家でDAC基板をせっせと設計して1月10日に発注し、なんとか春節直前に受け取ることに成功しました(今思えば、COVID-19の影響がひどくなる直前でもあった…)。


まずはAK4495とマイコンまわりだけ実装し、CM6631AからI2Sを流し込んでテストします。問題なく動作することを確認できました。

裏面にはゴツいチップタンタルコンデンサが並んでいます。耐圧には3倍以上の余裕を持たせて16V品を使っています。

次にオペアンプとその周辺の部品を実装し、再度テスト。


これも問題ありませんでした。どうも最近あまり失敗をしていません。新しいことにあまりチャレンジしていないからでしょう。いけませんね。

波形等のデータはケースに組付けた後にしっかり測定して公開します。
次回はDIR9001を使ってS/PDIFをI2Sに変換する基板について。
次回→AK4495 DACの設計と製作 (3) DIR9001 DAI基板

2020年3月18日水曜日

AK4495 DACの設計と製作 (1) 構想

以前サブシステム用にFN1241でDACを作りましたが、使っているうちに不満がいくつか出てきました。
・音量調整ができない
・ユニバーサル基板で作ったため配線が理想とは程遠い
・全体的に作りが雑でショボい()

そこで今回、これらの不満を解消しグレードアップするため、新しいDACを作ることにしました。
設計中の迷走を防ぐために、まず機器全体の要件を決めます。
・S/PDIF(同軸・光)、USB各1系統の入力
・バランス/アンバランス出力
・デジタルボリューム付き

DAC ICにはAKM(旭化成エレクトロニクス)のAK4495Sを使うことにしました。これは32bit DACなのでデジタルボリュームを使っても劣化が少なそうです。また、デジタルフィルタを切り替えて遊べるのも魅力ですね。などといいながら、実は一番の採用理由は「今までAKMのICを使ったことがなかったから」だったりします(アマチュア的発想)。
ちなみに、同社のDAC ICにはAK4490, 4493, 4497, 4499などもありますが、入手性や価格の面で折り合いませんでした。

さて、DAC全体の構成としては下図のようなものを考えました。


同軸、光、USBというスタンダードな3入力を備えたDACにします。DIR9001(家に3個余っていたので採用)はS/PDIF入力を1つしか持たないので、切替回路を外付けする必要があります。
出力はバランスとアンバランスを両方装備させて汎用性を高めたいです。当面はアンバランスしか使わないと思いますが…欲張り仕様ですね。
DIR9001とAK4495については、ユニバーサル基板ではなくちゃんとプリント基板を設計して製作します。CM6631Aの基板は自作ではなく、中国から来た怪しいボードを使用します。

では、さっそく次回の記事から製作に入りたいと思います。まずはAK4495基板からです。

次回→AK4495 DACの設計と製作 (2) DAC基板

2019年12月20日金曜日

電流帰還パワーアンプの製作 (3) 完成、測定

過去2回の記事で紹介してきたアンプをケースに入れました。
最初はタカチ MB30-12-20を使うつもりだったのですが、節約のためにもうひと回り小さいMB25-10-18(W250, H100, D180mm)に変更したらかなりギュウギュウ詰めになってしまいました。

前から
文字はテプラの透明なテープを使って入れました。

後ろから
入力はRCA2系統、3.5mmミニジャック1系統です。スマホにも手軽に接続できます。

上から
小さいケースですが、一応トランスがアンプ基板に与える影響を最小化するように配置を考えたつもりです。

左から
電源のすし詰め感がたまりません。一番好きなアングルかも


右から
左側と打って変わってスカスカです。

全回路図はこちら。



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さて、このアンプの右ch出力に8.2Ωの抵抗を接続して、いくつか測定をしてみました。
以下のオシロスコープ画像のすべてにおいて、黄色の波形がアンプへの入力、緑が出力です。

  • 矩形波応答


0.5Vppの10kHz 矩形波を入力して出力を見てみました。
オーバーシュートやリンギングは見られず、きれいな波形です。

  • 最大出力


最大出力電圧は45Vpp程度で、このときの入力は約5.9Vpp (2.1Vrms) でした。クリップさせたときの波形も素直で問題なさそうです。
最大出力は約30W@8Ωということにしておきましょう。

  • スルーレート


高速な矩形波を入れてスルーレートを見てみました。
大体100-120V/μs程度で、そこそこ速いほうではないでしょうか。

  • 周波数特性

FGとオシロスコープを組み合わせて周波数特性を測定しました。スペアナがあればいいのですが…


可聴域は特に問題なくフラットです。矩形波応答からも想像がつく通り、高周波でのピークも無さそうです。-3dB帯域はおおむね1.7Hzから800kHz程度です。
手持ちのFGの発振周波数が2MHzまでなので、残念ながらこれ以上の周波数は測定できませんでした。

  • 出力DCオフセット

DMMとパソコンを接続して2秒毎に20分間自動で測定・記録を行いました。


電源を入れた直後は-45mVほど出ているものの、3分程度で完全に落ち着き、以降はせいぜい2mV程度のぶれで収まっています。全く問題ありませんね。

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肝心の音質も良好のようで、長く使えるアンプになりそうです。

2019年12月13日金曜日

電流帰還パワーアンプの製作 (2) 周辺回路

前回の記事ではパワーアンプの回路を紹介しました。
今回は電源やスピーカー保護などの周辺回路を紹介します。

【電源】

18V 3A×2回路のトランスが偶然余っていたので、これを使って伝統的なトランス式の電源を作りました。ショットキーバリアダイオードブリッジを2個使って正負別に整流し、3300μF×14(計46200μF)の電解コンデンサアレーで平滑します。無負荷時の出力電圧は±25V程度になりました。



秋月電子で1個50円の激安電解コンデンサを使ったので、容量のわりに安上がりでした。基板の両面にコンデンサを実装することで面積を削減しています。

コンデンサの容量がこれだけ大きいと電源を入れたときの突入電流が心配なので、突入電流抑制回路を取り付けることにしました。電源投入直後は47Ωの抵抗を通じてコンデンサを充電し、しばらく後にマイコン制御のリレーで抵抗をバイパスするという回路です。
電源の2次側にあまり余計なものを入れたくなかったので、1次側に付けてみました。


電流制限用の47Ω抵抗には10Wのセメント抵抗を用いており、電源投入時には瞬間的に定格を超えることが予想されますが、まあ大丈夫だと思います(アマチュア特有のガバガバ設計)。リレーがONしてからは、抵抗での電力消費はほぼゼロになるはずです。
リレーは本来1回路で良いのですが、偶然2回路品の手持ちがあったので、ON時の接触抵抗を少しでも小さくしようと接点を並列にして使ってみました。ちなみに、リレーの接点を並列にしても開閉容量を2倍にはできないので要注意です(参考: オムロン, リレー接点を2個、並列に接続すると開閉容量は2倍になりますか?
 https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq02765.html)。

【スピーカー保護回路】

アンプの故障で出力に大きなDC電圧が出てしまったときにスピーカーをアンプから切り離す回路が必要です。DC検出にはTA7317PやμPC1237HAなどのICを使う手もありますが、今回は少し違う方法を取ってみました。


アンプの出力に適当なCRでLPFをかけたあと、両極性型フォトカプラに入力します。アンプの出力にDCが出てくるとフォトカプラ内のLEDに電流が流れ、回路図中のDC_detect端子の電圧が下がります。
簡単かつ確実な回路で、入出力が絶縁されているのでBTLのアンプにも使いやすいです。フォトカプラの出力をさらにトランジスタで受けてリレーを駆動することもできると思いますが、今回はそうはせず、マイコンでDC_detect端子の電圧を見てリレーを制御します。
スピーカー保護リレーには、機械式リレーではなくMOS FETリレーを使いました。


MOS FETリレーの詳細については以前の記事(スピーカー保護用MOS FETリレーの製作と実験)を参照してください。

【マイコン】

Arduino Pro miniの中華互換品を使ってみました。1個300円ほどで買える便利なマイコンボードです。


このマイコンでは以下のような制御を行います。

  • アンプ出力のDC検出

上で紹介したフォトカプラによる検出回路の出力を監視します。デジタル入力ではなくアナログ入力(ADC)を使うことで、小さなDCオフセットも検出できます。

  • アンプ出力リレーの制御

電源を入れてから3秒後にONします。アンプ出力に異常なDCが検出された場合は即座にOFFして、再度電源を入れなおすまではONしません。

  • 電源の突入電流制限リレーの制御

電源を入れてから1秒後にONします。

  • パイロットランプの制御

正常動作時は点灯、ミュート時は低速点滅、異常検出時は高速点滅します。

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次回はアンプ基板と今回紹介した周辺回路をケースに組み込んでちょっとした測定を行います。

電流帰還パワーアンプの製作 (1) アンプ回路

サブシステムに使っているLM3886アンプを置き換えるべく、ディスクリートパワーアンプを自作しました。

回路図(1ch分)はこちら。せっかくなので最近流行の電流帰還アンプにしました。


素子数はそこそこ多いものの、定電流回路やカレントミラーを除いて考えるとそんなに複雑な回路ではありません。エミッタフォロワ→1段増幅→3段ダーリントンという構成です。ゲインは約18dBです。
電源電圧の変動を抑えるため、終段以外の電源にはリップルフィルタを設けました。
回路図左上のエミッタフォロワの定電流回路に付いている半固定抵抗RV1は出力のDCオフセット調整用、回路図中央のRV2は終段のバイアス電流調整用です。

この回路を2つ載せたステレオアンプのプリント基板を作りました。


サイズは秋月電子のB基板 (95×72mm) に合わせてあります。GNDの引き回し等の関係でどうしても1枚の基板に2chのアンプを入れたかったので、基板設計はかなり頑張りました。部品と配線をただ詰め込むだけでなく、電流の行き帰りを意識し、大電流の流れるライン(終段の電源や出力)が他の配線に与える影響をできるだけ小さくするよう配慮してあります。
スルーホール型のトランジスタは製造終了ばかりなので、SMDを積極的に採用しました。主に使っている2SC3324/2SA1312は、オーディオ用として有名な2SC2240/2SA970の同等品です。カレントミラー部にはデュアルトランジスタ(HN1C01FU/HN1A01FU)を使ってみました。
終段トランジスタのフットプリントはTO-220サイズですが、穴径をすこし大きくしたため上の画像のようにTO-3Pも使えるようになっています。リードフォーミングは少し面倒ですが…

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以下、試作の過程など。

こちらは試作1号機。


この1号機をいじくりまわしながら回路を固めました。度重なる改造を経て裏面もグチャグチャです。


次に試作2号機。PCBを設計し、何か別の基板に相乗りさせてPCBGOGOに発注しました。本来はこの2号機で完成のはずでしたが…


正常動作は確認したものの、パターンや穴径などどうしても修正したいところがいくつかあり、FusionPCBに3号機を発注しました。その3号機が最終版(上に紹介した基板)となりました。


次は電源やスピーカー保護などの周辺回路を紹介します。

2019年11月10日日曜日

スピーカー保護用MOS FETリレーの製作と実験

オーディオアンプの出力には、アンプの異常動作からスピーカーを保護するためのリレーが大抵付いています。しかし、リレーは機械的に動作するスイッチですから、経年劣化で次第に接触抵抗が上昇していくことは避けられません。スピーカー保護リレーの劣化により、音質が低下するどころか最終的には音が出なくなってしまうということもありえます。
また、リレーというのは案外消費電力が大きく、例えばHSIN DA PRECISIONのパワーリレー 942H-2C-5DSは定格電圧5Vでコイル抵抗47Ωですから電流は100mAを超え、約0.5Wもの電力を消費することになります。当然、マイコンから直接駆動することはできません。

こういった機械式リレーの欠点を解消できるのが、半導体であるMOS FETを用いた無接点スイッチです。近年のMOS FETの中には非常にON抵抗の小さいものがあり、適切に品種を選べば機械式のリレーより抵抗を小さくすることができます。オーディオアンプのスピーカー保護リレーの代替としては、アキュフェーズが積極的に採用しています。
MOS FETリレーの欠点としては、FETの端子間容量によりOFF時でも高周波が筒抜けになってしまうことや、一般に機械式リレーより耐圧が低いこと(ON抵抗と耐圧はトレードオフ)などがあります。

【設計】

ということで、私も次期自作アンプ用にMOS FETを使った無接点スイッチを作ってみることにしました。以下のようなスペックを目指します。

  • マイコンで直接制御できる
    • 5V, 10mA以下を目指す
  • 回路のどこにでも自由に接続できる
    • 制御信号とFETの絶縁
  • 低いON抵抗
    • 10mΩ以下を目指す
  • リレーと同等以上の高速ON/OFF
    • スピーカー保護の観点から特にOFFの速さは重要
    • 10ms以下を目指す

これらの条件を満たすために考えた回路がこちら。


スイッチングには秋月電子で購入できるNch MOS FET RJK0328DPB-01を2個使用します。ドレイン-ソース間電圧が最大30Vと低めなのが若干不安ではありますが、VGS=10VでRDS(ON)=1.6mΩ typ.というスペックを持つFETです。
OFF時に寄生ダイオードを通じて電流が流れるのを防ぐため、FETはいわゆるBack to Back接続(寄生ダイオードのアノードどうしが接続される)になっています。

FETのゲート駆動にはフォトボル出力フォトカプラ TLP590Bを用い、制御信号を絶縁します。これでFETをONするのは良いのですが、問題はOFFするときです。TLP590Bは出力インピーダンスが非常に高く(数百kΩ)、FETを速くOFFしようとゲート・ソース間に抵抗を繋ぐとON時のVGSが足りなくなってしまいます。

そこで、回路図中のU2A (TLP4227G-2) を用いてOFF時にゲートの電荷を素早く抜くことを思いつきました。これはノーマリクローズという変わり者のフォトリレーで、入力側がOFFのとき出力がON (オン抵抗最大25Ω) 、入力に電流を流すと出力がOFFになります。機械式リレーでいうところのb接点ですね。データシートによればOFF時の二次側の電流は最大1μAということで、これならTLP590Bに負担をかけることも無いでしょう。

TLP590BとTLP4227G-2は直列接続になっており、5V動作のマイコンから470Ωの電流制限抵抗を通じて駆動します。このとき流れる電流は5mA程度です。

ちなみに、TLP590Bに与える制御信号の位相を反転させればTLP4227Gの代わりに安価なノーマリオープンのフォトカプラを使えるではないか…と言われればその通りなのですが、その方式には

  • 制御信号が2種類必要になり回路が複雑化する
  • 何らかの異常により制御信号が完全に失われた場合、ゲート電荷を抜くフォトカプラが動作せずFETがすぐにOFFしない(フェイルセーフの観点から望ましくない)
という欠点があるので採用しませんでした。

【製作】

上記の回路で2ch MOS FETリレーの基板を作ってみました。いつも通りKiCadで設計し、PCBGOGOで他の基板と合わせて発注したものです。両面基板でサイズは約53mm×32mm, 厚さ1.6mm, FR-4, 銅箔1oz, 表面処理HASL (有鉛) 。


画像でTLP4227G-2の手前に並んでいるのが入力端子です。8個も端子があるのはTLP590BとTLP4227G-2を別々に制御できるようにしてあるためですが、実際は基板の裏側のジャンパー設定により上の回路図の通りTLP590BとTLP4227G-2を直列接続して使うことになります。
TLP590Bの上に見える16個のスルーホールには特に意味はありません。場所が余ったのでユニバーサル基板風にしてみただけです。

【測定】

制御信号としてArduinoから5Vを入力して行った測定では、ON時の抵抗が0.004Ω@1kHz, 10kHz, 100kHzでした。FETのデータシートによるとON抵抗は3.2mΩ(=1.6mΩ×2)となるはずなので、この測定値はおおむね妥当でしょう。また、このときゲート・ソース間電圧はぴったり10Vでした。OFF時の入出力間容量は約1750pF@1kHzでした。


適当なセメント抵抗を負荷にして1A程度の電流を流し、オシロスコープでON/OFFにかかる時間を測定してみました。制御は上と同じくArduinoです。
黄色が制御信号、緑が出力です。


制御信号が来てから3.5ms程度で出力が完全にONしています。


立ち下がりは速く、制御信号のOFFから0.15ms程度で出力が完全に切れています。良いですね。

次に、FETがONになっている状態から制御信号を(0Vではなく)オープンにして出力が切れるまでにかかる時間を確かめました。制御側の異常を想定した実験です。


制御が効いている時と同等の0.15msでバッチリ切れています。フォトカプラの一次側にプルダウン抵抗などを付ける必要は無さそうですね。

【まとめ】

最後に、上に挙げた目標スペックを振り返ります。
  • マイコンで直接制御できる
    • 5V, 10mA以下を目指す→達成 (5V, 5mA)
  • 回路のどこにでも自由に接続できる
    • 制御信号とFETの絶縁→達成
  • 低いON抵抗
    • 10mΩ以下を目指す→達成 (約4mΩ)
  • リレーと同等以上の高速ON/OFF
    • スピーカー保護の観点から特にOFFの速さは重要
    • 10ms以下を目指す→達成 (ON: 3.5ms, OFF: 0.15ms)
ということで、大体狙い通りのものができたのではないかと思います。

あとはアンプ基板の到着を待つのみ…