2020年3月21日土曜日

AK4495 DACの設計と製作 (2) DAC基板

AK4495 DACシリーズ第2回です。初回はこちら→AK4495 DACの設計と製作 (1) 構想
今回は、この作品の根幹であるDAC基板を作ります。CM6631AとDIR9001からのI2S信号を入力しアナログ信号を出力する基板です。

こんな回路を考えました(回路図をクリックで拡大)。

回路図の高解像度版はこちらのリンクでご覧ください

・入力
CM6631AとDIR9001から送られてくる2系統のI2S信号を74AHC157(4回路2入力マルチプレクサ)で切り替えてAK4495に送り込みます。CM6631AからのI2S信号は、パソコンからのノイズを少しでも防ぐためSi8660で絶縁しておきます。

・出力
AK4495から出てきたアナログ信号はオペアンプによるLPFを経てバランス出力、あるいは更にオペアンプで差動合成されてアンバランス出力されます。LPFのカットオフ周波数は約150kHzとかなりユルめに設定してあります。

・制御
ATmega328P-AUというマイコンでAK4495とI2C通信を行い、デジタルボリュームやデジタルフィルタの制御を行います。ボリュームの制御には、電源電圧を可変抵抗で分圧しマイコン内蔵ADCに読ませるシンプルな方式を使いました。デジタルフィルタもシンプルに、ジャンパーピンでハードウェア的に設定できるようにしました。

マイコンを水晶ではなく約8MHzの内蔵CR発振で動作させたり、I2Cのプルアップをマイコンの内蔵プルアップ抵抗に任せたりして部品点数を少し削減しました。

・電源
DAC ICは3.3Vと5Vが混在、マイコンとアイソレータは3.3Vです。ノイズに気をつかうところにはNJM2863を使い、どうでもいいところ(マイコンなど)には普通の三端子レギュレータを使うことにしました。NJM2863は出力インピーダンスがあまり低くないため電流が激しく変動するような箇所には使いたくないのですが、ちょっと実験してみたところ音楽再生中のAK4495の消費電流変動はほぼ無さそうだったので大丈夫でしょう。また、いずれにせよ高周波ではレギュレータの能力にはあまり期待できないので、コンデンサによるデカップリングは重要です。DACまわりにはチップフィルム(ECHU)とチップタンタルを山盛りにしてみます。

オペアンプの電源は±15Vです。例によって「通電してみんべ」さん考案のディスクリートレギュレータを採用しています。


さて、正月休みに実家でDAC基板をせっせと設計して1月10日に発注し、なんとか春節直前に受け取ることに成功しました(今思えば、COVID-19の影響がひどくなる直前でもあった…)。


まずはAK4495とマイコンまわりだけ実装し、CM6631AからI2Sを流し込んでテストします。問題なく動作することを確認できました。

裏面にはゴツいチップタンタルコンデンサが並んでいます。耐圧には3倍以上の余裕を持たせて16V品を使っています。

次にオペアンプとその周辺の部品を実装し、再度テスト。


これも問題ありませんでした。どうも最近あまり失敗をしていません。新しいことにあまりチャレンジしていないからでしょう。いけませんね。

波形等のデータはケースに組付けた後にしっかり測定して公開します。
次回はDIR9001を使ってS/PDIFをI2Sに変換する基板について。
次回→AK4495 DACの設計と製作 (3) DIR9001 DAI基板

1 件のコメント:

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