2018年5月31日木曜日

PCM56P DACの製作

PCM56P(Jランク)を偶然2個入手したので、これを使ってオーディオ用DACを作ることにしました。以前作った3886アンプ8cmフルレンジスピーカーと合わせて自作サブシステムの構築を目指します。

PCM56Pはバーブラウン製の16bit DACで、初期のCDプレーヤーに使われていた古いICです。オーバーサンプリング無し(NOS)で自作される方も多いようですが、今回は8倍オーバーサンプリングを試してみることにします。

大まかなブロック図はこんな感じです。

PCM56P以外のICは全て秋月電子で手に入るものを使いました。
PD0052でS/PDIFから変換されたデータはデジタルフィルタ PD00601を経由してPCM56Pに入力されます。PCM56Pは電流出力・電圧出力どちらも可能ですが今回は電流出力モードで使い、オペアンプを2つ外付けしてI/V変換とLPFをやらせます。

秋月のB基板を2枚使い、DAI部分とDAC部分で基板を分けて製作しました。

特に失敗はなく、バラック状態で一発動作してラッキーでした。
ただし、左右の出力電圧差が15%ほどありました。ちょっと許容したくないズレですが、実はこれは異常ではありません。PCM56Pのデータシートには、左右の出力電流の誤差が±30%とあります。I/V変換の抵抗値を変更して調整しましょう。

回路図は下図のようになりました。
DAI部

DAC部

以下、部分ごとの解説です。

・S/PDIF入力部分
PD0052は3系統のS/PDIF入力が可能ですが、今回は光と同軸それぞれ1系統ずつとしました。同軸入力にはパルストランスを挟みました。
このICはTTLレベルの入力を要求するので、同軸ケーブルで送られてきた信号(0.5Vpp)をそのまま使うことはできなさそうです。今回は74HCU04を使ったありふれた回路によって5VppとしてからPD0052に入力します。

・DAI部分
PD0052はシュリンクDIP(足のピッチが1.778mm)で少し厄介です。ユニバーサル基板に斜めに実装しました。
PD0052

回路の定数はほとんどデータシート通りですが、PD0052のPLLまわりだけ音質改善を狙ってデータシートの使用例から若干変更してあります。
電源には6.3V 1Aのトランスを用い、7806で6Vに安定化したうえでLDOにより5Vまで落とすという2段レギュレータ方式を採用しました。LDOにはローノイズなNJM2863を4個使用しました。
NJM2863


・DAC部分
ノンスルーホール両面基板を使い、裏面のほとんどは銅箔テープによるベタGNDとしました。
上に書いた通り左右の音量差が大きかったので、片方のI/V変換抵抗を2kΩから1.8kΩに変更して大まかに合わせました。無負荷時の出力電圧は約4Vppです。

電源には16V 0.5Aのトランスを2個使用し、それぞれ正電源用・負電源用としました。オペアンプ用の安定化電源としてはいつものディスクリートレギュレータを採用しました。PCM56Pの電源は普通の三端子レギュレータ(7809と7909)ですが、デジタル系にはチップフェライトビーズ(ムラタ BLM18RK102SN1)を取り付けてみました。
ちなみにPCM56Pの負電源の電流は正電源の2倍以上になるので、負電源側のレギュレータにだけ小さなヒートシンクを付けています。

・保護リレー
完成したDACをケースに入れて試験していたら、電源ON/OFF時や入力が無い時にノイズが出ることが判明したので、出力にリレーを入れて対策することにしました。

じゅうぶんなスペースがないので、DAC基板の上にリレー制御基板を重ねる二階建て構造としました。
電源投入後約3秒間とPD0052がエラーになっている時(入力が無い時)は出力のリレーを切るようにしています。また、電源を切った時もDACへの電源供給が途絶える前にリレーが切れるので安心です。この回路のおかげでポップノイズの心配はなくなりました。

・ケースとパネル
ケースはタカチのYM-250にしました、私が今までに一番多く使ったアルミケースです。
もともと前面パネルには電源スイッチと入力切替スイッチしか付けていなかったのですが、さすがにシンプルすぎて寂しいので、入力データのサンプリング周波数をLEDで表示できるようにしてみました。といっても44.1kHzと48kHzの2通りだけです(32kHzも表示しようと思えばできますが、さすがにそんな音源聞かないので無視)。
文字は黒テープのネームランド(テプラのようなもの)で入れました。


上の画像の上段が今回のDACです。下段は電流帰還プリアンプ


ケースの内部はこんな感じです。


では出力波形を見てみましょう。以下の画像は全て出力をRCAケーブルでオシロスコープに直結したときの波形です。

1kHz 正弦波 フルスケール


1kHz 正弦波 -20dB
波形が太く見えるのはオシロスコープ自体のノイズのせいです。


1kHz 矩形波 フルスケール


20kHz 正弦波 フルスケール

波形は特に問題なさそうですね。

さて、サブシステムで使う予定であるこのDACですが、音質評価のためにはやはり一度メインシステムに組み込んでみるしかないでしょう。下のような構成で聴いてみました。


普段はN-70Aの内蔵DAC(ES9016S 8パラ)を使っていますが、その音とは根本的に違う雰囲気をすぐに感じることができました。
ゴリゴリした音が飛び出してくる感じ、とでも言えばいいでしょうか…滑らかさが無いかわりに、ガッチリした力強さがあります。
とにかく音質を言葉で表すというのは難しくてどんどん詩的な表現になっていきがちなのでこのあたりにとどめておきますが、なかなか最近のDACでは出ないような音に仕上がったのではないかと思います。

今後このDACは以下のようなシステムに組み込んで使っていく予定です。

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