私が移動運用地に求める3大条件。
1. 電波がよく飛ぶ
2. 人があまり来ない(目立ちたくないので…)
3. 手軽に行ける
広島に住んでいたころは近所の低い山が上の3条件を満たしていたのですが、東京に移住すると周囲は見渡す限りの平野。山で無線をやろうと思ったら電車を乗り継いで長旅になるので、なかなか行けません。ビルの展望台という手もありますが、2番目の条件を満たしません。過密を極めた東京では、一般に2番目と3番目の条件の両立が難しいと思います。
しかし先日、ついに私の求める条件をほとんど満たす素晴らしい運用地を発見してしまいました。
1. ビルの11階のバルコニー
2. 関係者以外立ち入り禁止
3. 定期券で行ける
ロケーションは最高というほどでもないですが、特に2番目と3番目の条件が満たされているのが高ポイントです。というわけで早速ここで運用してみました。
ハンディ機ひとつの身軽な移動運用でしたが、短時間で埼玉県戸田市、東京都足立区、茨城県龍ケ崎市と立て続けに交信できました。
ハンディ機付属ホイップでもまあまあ楽しめそうですが、以前記事にしたRH-770を持っていけばもっと遊べそうです。ただし、片付け中に紙ログが風に飛ばされそうになるというヒヤリハット事案があったので次回からは気を付けます(ハインリッヒの法則…)。ここからログを飛ばしてしまったら回収するのは難しいでしょうから。
最後に、ここがどこか?ですが、それは交信中にお伝えしようと思います(といっても写真をちょっと分析すればすぐに分かるでしょうが)。この記事をご覧のアマチュア無線家の皆様、ぜひ交信よろしくお願いします。
2016年12月28日水曜日
自作スピーカー(初)
今年の後半はオーディオアンプをいくつか作りました。自作無線機に自作アンテナで交信する人がいるように、アンプを作ったらスピーカーも作りたくなってくるのが人の常…(?)というわけで、今月は小さいスピーカーを初めて作ってみました。
スピーカー自作といっても、一般的に自作可能なのはスピーカーの箱だけ、つまり今回は慣れない木工がメインになります。しかしただの箱と侮ってはダメで、ユニットを生かすも殺すも箱次第という面があるので奥が深いらしいというわけです。
まずは計画から。いろいろインターネットで調べてみると、スピーカーの特性を簡単にシミュレーションできるSPEDというフリーソフトがあるのを知ってとりあえずダウンロード、いろいろパラメータを変えて遊んでみました。しかしなかなか思ったような特性にはならないもので、またシミュレーションの正確性にも疑問があるので結局確認程度にしか使わないことにしました。案ずるより産むが易し。
さて、そういうわけでとりあえず適当に寸法を決めて作ってみます。初めてのスピーカー自作は実験的意味合いが強いので、できるだけ安くあげたいところです。
エンクロージャー用の木材は100円ショップのMDF材(厚さ6mm: 薄い!)、ユニットは高コストパフォーマンスと評判の東京コーン紙製作所 F77G98-6(1個150円!)を使いました。
木材は部室に合ったジグソーで切りました。買い占めたMDF板が足りなくなってしまったので、天板と底板には部室にあったコンパネの切れ端を使いました、これはなかなかきれいに切れませんね。
次にユニットを取り付けるための穴開け。これも部室にあるボール盤と自在錐を使いました。ここは特に精度が必要な部分ですが、道具の力を借りて一発でぴったりの穴を開けることができました。
自在錐楽しい!やみつきになりそうです。
こうして部材が揃ったら、木工用ボンドで接着していきます。
内側には吸音材としてフェルトを貼ってみましたが、この薄さで本当に吸音してくれるのか?かなり怪しいと思っています。
全部組み終わったら、加工精度が悪くてガタガタになってしまった部分をディスクグラインダで削り、形を整えてからニス塗り。ニスと刷毛はまたしても100円ショップで調達しました。
1度塗りでなかなか良い雰囲気に。
3度塗りまで済ませると、下の画像のようになかなか渋い色になりました。
自作のミニD級アンプ(※当ブログでは未紹介)を繋いで聞いてみました。音質はちょっと微妙?中~高域はなかなか良いのですが、低域がちょっと…量は案外出ていますが、かなりボンついていて聞きづらいです。吸音材が薄いからか、そもそも板が薄いからか、箱の設計が悪いからか…?多分、全部正解でしょう(爆) エージングで多少は良くなることを期待しています。
ともかく、これでやっと「自作アンプに自作スピーカーを繋いで音楽を聞く」というひとつの目標、というか憧れを現実のものにすることができました。音が良くないといっても、2個で1000円程度のスピーカーの音とは思えません。まあ、総合的に見てそんなに悪くはないと思います。
まとめ: あるサイトを見るとアンプづくりよりスピーカーづくりの方がハードルが低いと書いてありましたが、正直言うと自分にとってはアンプづくりの方が楽しいです。今回はなかなか良い経験になりましたが、今後しばらくスピーカーを作ることはないでしょう…
スピーカー自作といっても、一般的に自作可能なのはスピーカーの箱だけ、つまり今回は慣れない木工がメインになります。しかしただの箱と侮ってはダメで、ユニットを生かすも殺すも箱次第という面があるので奥が深いらしいというわけです。
まずは計画から。いろいろインターネットで調べてみると、スピーカーの特性を簡単にシミュレーションできるSPEDというフリーソフトがあるのを知ってとりあえずダウンロード、いろいろパラメータを変えて遊んでみました。しかしなかなか思ったような特性にはならないもので、またシミュレーションの正確性にも疑問があるので結局確認程度にしか使わないことにしました。案ずるより産むが易し。
さて、そういうわけでとりあえず適当に寸法を決めて作ってみます。初めてのスピーカー自作は実験的意味合いが強いので、できるだけ安くあげたいところです。
エンクロージャー用の木材は100円ショップのMDF材(厚さ6mm: 薄い!)、ユニットは高コストパフォーマンスと評判の東京コーン紙製作所 F77G98-6(1個150円!)を使いました。
木材は部室に合ったジグソーで切りました。買い占めたMDF板が足りなくなってしまったので、天板と底板には部室にあったコンパネの切れ端を使いました、これはなかなかきれいに切れませんね。
次にユニットを取り付けるための穴開け。これも部室にあるボール盤と自在錐を使いました。ここは特に精度が必要な部分ですが、道具の力を借りて一発でぴったりの穴を開けることができました。
自在錐楽しい!やみつきになりそうです。
こうして部材が揃ったら、木工用ボンドで接着していきます。
内側には吸音材としてフェルトを貼ってみましたが、この薄さで本当に吸音してくれるのか?かなり怪しいと思っています。
全部組み終わったら、加工精度が悪くてガタガタになってしまった部分をディスクグラインダで削り、形を整えてからニス塗り。ニスと刷毛はまたしても100円ショップで調達しました。
1度塗りでなかなか良い雰囲気に。
3度塗りまで済ませると、下の画像のようになかなか渋い色になりました。
自作のミニD級アンプ(※当ブログでは未紹介)を繋いで聞いてみました。音質はちょっと微妙?中~高域はなかなか良いのですが、低域がちょっと…量は案外出ていますが、かなりボンついていて聞きづらいです。吸音材が薄いからか、そもそも板が薄いからか、箱の設計が悪いからか…?多分、全部正解でしょう(爆) エージングで多少は良くなることを期待しています。
ともかく、これでやっと「自作アンプに自作スピーカーを繋いで音楽を聞く」というひとつの目標、というか憧れを現実のものにすることができました。音が良くないといっても、2個で1000円程度のスピーカーの音とは思えません。まあ、総合的に見てそんなに悪くはないと思います。
まとめ: あるサイトを見るとアンプづくりよりスピーカーづくりの方がハードルが低いと書いてありましたが、正直言うと自分にとってはアンプづくりの方が楽しいです。今回はなかなか良い経験になりましたが、今後しばらくスピーカーを作ることはないでしょう…
RH-770用基台の製作
先月、東京の家の屋上からハンディ機で東京UHFコンテストに出たのですが、あまりにも電波が飛ばず悲しくなったのでRH-770というアンテナを購入しました。
これはラジオのアンテナのように伸縮するホイップアンテナで、伸ばすと93cmにもなるのでハンディ機に直接取り付けるのは危険です(実は、高校時代に学校の無線同好会でこのアンテナを使っていたところ、重さに耐えきれずBNC-SMA変換コネクタが真っ二つになってしまったことがあります)。
そこで、このアンテナを三脚など安定した場所に取り付けて使えるように基台を作ろうと思いたちました。
まず無線部の部室にたくさんあるアルミ板を加工して作ろうと思って物色してみると、薄すぎて使えなさそうな板か厚すぎて加工困難な板しかなかったので計画断念。
以前間違えて購入し、ずっと放置していたタカチのアルミケースを流用することにしました。
部室でサッと穴あけを済ませ、バリ取りもほどほどに完成させたのがこちら。
ネジはあり合わせのものを使ったので色も形もバラバラです…
これを下の画像のように三脚に取り付けて使います。
本当は三脚にネジ留めできるように基台に穴をあけてあるのですが、今回使った三脚はクイックシュータイプでプレートを紛失してしまったもの(=ネジが無い)なので、仕方なくクランプで無理やり固定しました。かっこ悪いですね。
実際にこれを屋上に持ち出して運用してみましたが、風が少々吹いても安定しており、150kmほど先の栃木県の局と430MHz FMで安定して交信できました。
見た目は悪いですが、実用性はじゅうぶんということで満足しています。
これはラジオのアンテナのように伸縮するホイップアンテナで、伸ばすと93cmにもなるのでハンディ機に直接取り付けるのは危険です(実は、高校時代に学校の無線同好会でこのアンテナを使っていたところ、重さに耐えきれずBNC-SMA変換コネクタが真っ二つになってしまったことがあります)。
そこで、このアンテナを三脚など安定した場所に取り付けて使えるように基台を作ろうと思いたちました。
まず無線部の部室にたくさんあるアルミ板を加工して作ろうと思って物色してみると、薄すぎて使えなさそうな板か厚すぎて加工困難な板しかなかったので計画断念。
以前間違えて購入し、ずっと放置していたタカチのアルミケースを流用することにしました。
部室でサッと穴あけを済ませ、バリ取りもほどほどに完成させたのがこちら。
ネジはあり合わせのものを使ったので色も形もバラバラです…
これを下の画像のように三脚に取り付けて使います。
本当は三脚にネジ留めできるように基台に穴をあけてあるのですが、今回使った三脚はクイックシュータイプでプレートを紛失してしまったもの(=ネジが無い)なので、仕方なくクランプで無理やり固定しました。かっこ悪いですね。
実際にこれを屋上に持ち出して運用してみましたが、風が少々吹いても安定しており、150kmほど先の栃木県の局と430MHz FMで安定して交信できました。
見た目は悪いですが、実用性はじゅうぶんということで満足しています。
2016年11月28日月曜日
簡単な光通信機の製作
先日私の大学で学園祭があり、無線部も出展しました。
展示を行うにあたり、目に見えて分かりやすいちょっとした無線通信の実験ができないものかと思い、手持ちの部品をできるだけ使って光通信機を作ってみました。
それが思ったよりもウケたので、ここで紹介します。
普段は実用的な工作ばかりしていますが、今回の光通信機はあくまでも展示用なので特に実用性はありません。
さて、光通信機を作るにあたり、考えた仕様は以下の通りです。
1. 音声信号を光によって伝送するもの
2. 信号到達距離2m
3. AC アダプタを使った単電源で動作すること
4. 簡単に製作できて再現性が高いこと
5. できるだけ筆者の手持ちの部品で製作できること
以上の仕様を満たすものとして設計したのは下のような回路です。
手持ちの部品を活用することを最優先したので、一部の定数が最適化されていない気もしますがまあ良いでしょう。
パワーオペアンプ LM675T をノート PC用 の AC アダプタ(19V)で動作させ、その出力を LEDに送り込むというごく単純なものです。回路としては、単電源で動作するオーディオアンプとほぼ変わりありません。信号入力には、携帯音楽プレイヤーを使います。
LED には秋月電子で売られている 3W 赤色 LED の OSR5XNE3C1E を使用し、無信号時の電流が約 350mA(絶対最大定格の約 44%)となるように R6(上図)を設定しました。
こんな感じで、ケース無しのむき出しです。解説のため部員が常駐しているのでこれでも大丈夫ですが、ふつう展示するものはケースに入れるべきでしょうね。
これを作るために新たに買ったのはセメント抵抗1つと LED とレンズ(100円ショップで購入)だけで、のこりの部品は全て持っていたものを使いました。3WのLEDを使用し、さらにレンズまで付けているため光源を直視すると危険です。また、LED の電流制限抵抗とオペアンプはかなり発熱します。
電源電圧を下げれば発熱は抑えられますが、16V 以下にするとアンプ IC が動作しなくなってしまうので仕方がありません。
次は受信機です。
受光素子にはいろいろありますが、今回は送信側に使ったのと同じパワーLEDを採用しました。
送信側のLEDを飛ばしてしまったときのための予備として買っておいたものを使っただけで、特にこれでないといけないというわけではありません。
また、こちらにも100円ショップのレンズを装着しました。
このLEDと直列に適当なコンデンサを入れてDCをカットしてやれば、立派なオーディオ信号が出てきます。 そのままイヤホンを繋げば音が聞こえますが、スピーカーを鳴らすには適当なアンプを繋いでやる必要があります。学園祭での展示ではPC用のアクティブスピーカーを繋いでいました。もちろんHiFiではありませんが、まあAM放送程度の音質にはなっていました。
実は受信側に入れるためにALC付きのアンプ(SA2011というICを使った)を作ったのですが、これをつけるとレンズなど一切なくても送信機と受信機が同じ部屋の中にあるだけで音声を拾えてしまい、かえって光によって通信していることが分かりにくくなってしまうと思ったので外しました。SA2011アンプ無しでも、レンズのおかげで上に書いた仕様2を満たすことができます。
下の画像は展示の様子です。受信機の後方から送信機側を写したものです。
こんな単純なものなのですが、特に光を手でさえぎると音が聞こえなくなるのがおもしろかったようで(?)、一時は列ができるほど人気でした。
展示の本題であるアマチュア無線とは直接の関係が無い物ですが、これも一種の無線通信であり、この光通信機をきっかけに無線に興味を持った人がいれば幸いです。
展示を行うにあたり、目に見えて分かりやすいちょっとした無線通信の実験ができないものかと思い、手持ちの部品をできるだけ使って光通信機を作ってみました。
それが思ったよりもウケたので、ここで紹介します。
普段は実用的な工作ばかりしていますが、今回の光通信機はあくまでも展示用なので特に実用性はありません。
さて、光通信機を作るにあたり、考えた仕様は以下の通りです。
1. 音声信号を光によって伝送するもの
2. 信号到達距離2m
3. AC アダプタを使った単電源で動作すること
4. 簡単に製作できて再現性が高いこと
5. できるだけ筆者の手持ちの部品で製作できること
以上の仕様を満たすものとして設計したのは下のような回路です。
手持ちの部品を活用することを最優先したので、一部の定数が最適化されていない気もしますがまあ良いでしょう。
パワーオペアンプ LM675T をノート PC用 の AC アダプタ(19V)で動作させ、その出力を LEDに送り込むというごく単純なものです。回路としては、単電源で動作するオーディオアンプとほぼ変わりありません。信号入力には、携帯音楽プレイヤーを使います。
LED には秋月電子で売られている 3W 赤色 LED の OSR5XNE3C1E を使用し、無信号時の電流が約 350mA(絶対最大定格の約 44%)となるように R6(上図)を設定しました。
こんな感じで、ケース無しのむき出しです。解説のため部員が常駐しているのでこれでも大丈夫ですが、ふつう展示するものはケースに入れるべきでしょうね。
これを作るために新たに買ったのはセメント抵抗1つと LED とレンズ(100円ショップで購入)だけで、のこりの部品は全て持っていたものを使いました。3WのLEDを使用し、さらにレンズまで付けているため光源を直視すると危険です。また、LED の電流制限抵抗とオペアンプはかなり発熱します。
電源電圧を下げれば発熱は抑えられますが、16V 以下にするとアンプ IC が動作しなくなってしまうので仕方がありません。
次は受信機です。
受光素子にはいろいろありますが、今回は送信側に使ったのと同じパワーLEDを採用しました。
送信側のLEDを飛ばしてしまったときのための予備として買っておいたものを使っただけで、特にこれでないといけないというわけではありません。
また、こちらにも100円ショップのレンズを装着しました。
このLEDと直列に適当なコンデンサを入れてDCをカットしてやれば、立派なオーディオ信号が出てきます。 そのままイヤホンを繋げば音が聞こえますが、スピーカーを鳴らすには適当なアンプを繋いでやる必要があります。学園祭での展示ではPC用のアクティブスピーカーを繋いでいました。もちろんHiFiではありませんが、まあAM放送程度の音質にはなっていました。
実は受信側に入れるためにALC付きのアンプ(SA2011というICを使った)を作ったのですが、これをつけるとレンズなど一切なくても送信機と受信機が同じ部屋の中にあるだけで音声を拾えてしまい、かえって光によって通信していることが分かりにくくなってしまうと思ったので外しました。SA2011アンプ無しでも、レンズのおかげで上に書いた仕様2を満たすことができます。
下の画像は展示の様子です。受信機の後方から送信機側を写したものです。
こんな単純なものなのですが、特に光を手でさえぎると音が聞こえなくなるのがおもしろかったようで(?)、一時は列ができるほど人気でした。
展示の本題であるアマチュア無線とは直接の関係が無い物ですが、これも一種の無線通信であり、この光通信機をきっかけに無線に興味を持った人がいれば幸いです。
2016年11月13日日曜日
実験用電源の修理(松定プレシジョン PLE-36-1.2)
大学の某研究室が捨てるというのでもらってきた実験用安定化電源。
松定プレシジョンのPLE-36-1.2という製品です。型番が示す通り最大36V1.2Aで、薄くて使いやすそうです。
しかし、捨てられるくらいですから当然壊れています。
しかし、捨てられるくらいですから当然壊れています。
電流ツマミを回しても定電圧モードに入らず上の画像の状態のままで使えません。電圧計は0.5~0.7Vを示しますが、テスターで測ってみるとなぜか負電圧が出ていました(+端子から-0.5V…)。
しばらく部室に放置していたのですが、この土日に家でじっくり見てみようと持ち帰りました。
中身は新品のようにキレイです。爆発したり焼き切れたりしたような部品があれば話が早いのですが。
さて、回路図も持ってませんし、どうしましょう。
どうしようもないようだったら、部品取り用にしようかと思っていました。大きなRコアトランスが魅力的です。
どうしようもないようだったら、部品取り用にしようかと思っていました。大きなRコアトランスが魅力的です。
しかし本当に外見がおかしい部品がないか、もう少しじっくり見ていると…
ん?
ん?
このブリッジダイオード、えらく傾いていますね。
ちょっと指で押してみると動きました。これはいけない。
なんとこのブリッジダイオード、足が2本しか基板についていませんでした。浮いている2本を見たところ、ハンダが取れたのではなく今まで1度もハンダが付いたことがないようです。
基板にはハンダが付いている(自動ハンダ)ので、ハンダ面をざっと見たとき不良に気づきませんでした。
なぜこんな状態で電源が入ったんだ?と思いましたが、よく見るとこの不良部とは別に小さいブリッジダイオードが付いていました。デジタル電圧計等の電源は別系統だったんですね。
というわけで、早速直します。
ハンダを取って
ブリッジダイオードの足をさしこみハンダを付け直す。
これで無事に直りました。今後の実験に活用したいと思います。
下の画像は15Ωのセメント抵抗を繋いでテストしているところです。
…で、ここまであえてはっきりとは触れていなかったのですが、これは故障ではなくただの不良品ですね。おそらく最初は基板のランドとブリッジダイオードの足がなんとなく接触していて使えたものの、何かの拍子に接触がなくなってしまい廃棄にいたったということでしょう。
今までいろいろな製品の修理をしましたが、初期不良品に当たったのは初めてでした。
2016年10月1日土曜日
ヘッドホンアンプHPA-12の製作(3)
前回は主に客観的に評価できる不具合の改善に取り組み、問題点らしい問題点はほぼ解決されました。この先は、「音質をよくする」ために主観で良し悪しを判断して改造する作業になっていきます。個人の好みの違いはどうしてもあるので、ここに書いた方法で他の方が必ず改善が感じられるとは限りません。
また、改造を続けるうちにだんだん改造前後の差が小さくなり、コストパフォーマンスが下がってきます。どこで妥協するかという問題になってきますが、前回の改造ではまだ妥協できない段階なので、記事もまだまだ続きます。
では、今日も元気にチェンジニア(笑)
さて、最初は部品交換のテッパン、コンデンサからです。
前回の記事で入力部のコンデンサを220pFから68pFにかえて高音が出るようになったと書きましたが、その後しばらく聞いていると、どうもこれが出過ぎと感じられるようになってきました。シンバルの音や女性歌手の高く伸びる歌声が耳に突き刺さります。入力部のコンデンサを少しだけ増やしてみようかとも思いましたが、そういうやり方でシビアに高音の出を調整するのはまずい気がします(入力ケーブルの長さ等によって高音の量が左右される)。
すこし考えた結果、電源のコンデンサで何とかなるのではという結論に達しました。
この時の電源コンデンサは下図のような構成になっていました。
ここで、試しにニチコンKA 1000μFとパラで付けていた東信UPZ 0.1μFを外してみました。すると、これが大当たり! 高音のキツさがほぼ解消されました。余っているからといってなんでもくっつけたらいけませんね。思った以上に音に影響する部分でした。
この時点で音にはそこそこ満足していたのですが、電解コンデンサは大容量のものを1つ使うより中容量のものを複数使う方が良い結果が出ることが多いと聞き(ESRの問題?)、構成を変えてみました。平滑に日ケミKMG 4700μF/16Vを投入、その下流には余っていたニチコンKA 3300μF/16Vです。下図のようになりました。
さて2時間ほどエージングして聞いてみると、これが大失敗…
東信UPZを付けていた頃のように高音がキンキンして、聞くに堪えません。まだエージング不足なのではというわずかな希望を持って丸1日ほど音楽を流しっぱなしにしてみましたが、基本的なキャラクターに変化はありませんでした。
KMGがこんな音だという話は聞いたことがないので、このキンキン音はニチコンKA 3300μF/16Vのせいだと結論付けました。もともとKAは使っていたのですが、今回の構成では特にそのキャラクターが強く出てしまったようです。
こんなことなら電解コンデンサ交換なんて手を出さなければよかった…UPZを外した時点でもそこそこ満足していたのに。
そうは言っても、手を出してしまったものは仕方がありません。即、秋葉原に行って次なるコンデンサを買ってきました。フラットな音と名高い日ケミKMG 2200μF/16Vです。これをKA 3300μF/16Vと交換しました。
聞いてみると確かに割とフラットですが、ちょっと解像度が下がったぼんやりした音のように感じます。ゆったりした感じとも言えますし、こういうのが好みの方もおられるとは思いますが、私の目指すところとは違います。もう一息。
ということで、次に、解像度が上がるかな?と、ECHU 0.1μFを付けてみました(下図)。
これは効果あり。音がクッキリしました。まだKAが残っているのは気になりますが、まあ一応満足したのでこれ以上いじるのはとりあえずやめておきます。
さて、回路はここまでにして仕上げの加工を少し。
改造に邪魔なのでこれまで付けていなかったLEDを取り付けました。普通ならパネルに付けますが、今回はちょっと趣向を変えてこんな感じにしてみました。
ちょっと真空管アンプっぽい感じで、気に入っています。ケースの穴さえきれいに開けられていたら最高だったんですが…
完成したアンプの音質はなかなかのもので、以前作ったMUSES8920+LME49600のアンプよりもほとんどの点で優れています。特に、音場がとても広いと感じます。ただし、やはり電源が安定化されていないためか若干すっきりしない感じです。また機会があれば安定化電源を繋いでみたいと思っています。
また、改造を続けるうちにだんだん改造前後の差が小さくなり、コストパフォーマンスが下がってきます。どこで妥協するかという問題になってきますが、前回の改造ではまだ妥協できない段階なので、記事もまだまだ続きます。
では、今日も元気にチェンジニア(笑)
さて、最初は部品交換のテッパン、コンデンサからです。
前回の記事で入力部のコンデンサを220pFから68pFにかえて高音が出るようになったと書きましたが、その後しばらく聞いていると、どうもこれが出過ぎと感じられるようになってきました。シンバルの音や女性歌手の高く伸びる歌声が耳に突き刺さります。入力部のコンデンサを少しだけ増やしてみようかとも思いましたが、そういうやり方でシビアに高音の出を調整するのはまずい気がします(入力ケーブルの長さ等によって高音の量が左右される)。
すこし考えた結果、電源のコンデンサで何とかなるのではという結論に達しました。
この時の電源コンデンサは下図のような構成になっていました。
ここで、試しにニチコンKA 1000μFとパラで付けていた東信UPZ 0.1μFを外してみました。すると、これが大当たり! 高音のキツさがほぼ解消されました。余っているからといってなんでもくっつけたらいけませんね。思った以上に音に影響する部分でした。
↑外したUPZ 4個
さて2時間ほどエージングして聞いてみると、これが大失敗…
東信UPZを付けていた頃のように高音がキンキンして、聞くに堪えません。まだエージング不足なのではというわずかな希望を持って丸1日ほど音楽を流しっぱなしにしてみましたが、基本的なキャラクターに変化はありませんでした。
KMGがこんな音だという話は聞いたことがないので、このキンキン音はニチコンKA 3300μF/16Vのせいだと結論付けました。もともとKAは使っていたのですが、今回の構成では特にそのキャラクターが強く出てしまったようです。
こんなことなら電解コンデンサ交換なんて手を出さなければよかった…UPZを外した時点でもそこそこ満足していたのに。
そうは言っても、手を出してしまったものは仕方がありません。即、秋葉原に行って次なるコンデンサを買ってきました。フラットな音と名高い日ケミKMG 2200μF/16Vです。これをKA 3300μF/16Vと交換しました。
聞いてみると確かに割とフラットですが、ちょっと解像度が下がったぼんやりした音のように感じます。ゆったりした感じとも言えますし、こういうのが好みの方もおられるとは思いますが、私の目指すところとは違います。もう一息。
ということで、次に、解像度が上がるかな?と、ECHU 0.1μFを付けてみました(下図)。
これは効果あり。音がクッキリしました。まだKAが残っているのは気になりますが、まあ一応満足したのでこれ以上いじるのはとりあえずやめておきます。
さて、回路はここまでにして仕上げの加工を少し。
改造に邪魔なのでこれまで付けていなかったLEDを取り付けました。普通ならパネルに付けますが、今回はちょっと趣向を変えてこんな感じにしてみました。
ちょっと真空管アンプっぽい感じで、気に入っています。ケースの穴さえきれいに開けられていたら最高だったんですが…
完成したアンプの音質はなかなかのもので、以前作ったMUSES8920+LME49600のアンプよりもほとんどの点で優れています。特に、音場がとても広いと感じます。ただし、やはり電源が安定化されていないためか若干すっきりしない感じです。また機会があれば安定化電源を繋いでみたいと思っています。
2016年9月19日月曜日
ヘッドホンアンプHPA-12の製作(2)
以前投稿したヘッドホンアンプHPA-12の製作(1)ではとりあえず音が出るところまで工作して音質等を評価しました。
今回からは、あちこちをいじってできるだけ好みのアンプにしていきたいと思います。
まずはケース加工。タカチのYM-250を使用しました。このYMシリーズはそこそこ安い上にツートンカラーでかっこいいのでよく使います。
外見はシンプルに、前面はヘッドホンジャック・電源スイッチ・ボリューム、後ろには入力端子・ヒューズホルダ・ACインレットと特筆すべきところのない普通のデザインです。
と、ここで問題が(って、ケース買う時点で薄々気づいてはいましたが)。
このケースは内側の高さが47mm程度しかないので、使いたかった6.3V2回路1Aのトランスが入りません。これは仕方がないので、割高でスペースを取りますが1回路の背が低いトランスを2つ使うことにしました。
この時点で全体の写真を撮り忘れていたので中途半端な画像しかありませんが、下のような感じです。下の画像では基板のアースが適当になっていますが、この後ちゃんとしっかり繋ぎなおしています。
トランスとアンプ基板の間にアルミ板の仕切りがありますが、これはハムノイズ低減等の具体的な効果を求めたというよりはファッションですね…ついている方がプロっぽくてかっこいいですから。実際、特に音に関する効果は認められません。
こういうムダをやっても誰も怒らないのが自作の良いところですね。
さて、一応箱に入って落ち着いて聞けるようになったので、いよいよ手を入れていきます。
注)以下の部品番号は、このページ(外部リンク)の回路図に準じます。自分仕様の回路図も一応作ってあるのですが、原典をご覧になる方が良いと思います。
まずは前回の記事に書いた、高音が出ない問題。
高周波がアンプに入らないように、仕様通り(C7, C57) 入力に220pFのスチロールコンデンサを入れてあったのですが、この値がちょっと大きすぎるのが原因と判断しました。
さっそくこのコンデンサを取り払ってみると、やはり思った通り高音が出るようになりました。しかしこのコンデンサ無しではやはり若干不安なので、無線部の部室に転がっていた62pFのマイカコンデンサを付けておきました。これでOKでしょう。
次にハムノイズ。常用しているヘッドホン K712PROでは全く聞こえないので問題ないのですが、低インピーダンス高能率のイヤホンではそこそこ聞こえるので退治したくなりました。
このハムはトランスと基板の位置関係を変えてみても変化しないので、電磁波として飛び込んでいるのではなく電源に乗っているリップルが原因と考えました。
そこで、手始めに電圧増幅段の近くにコンデンサを追加する改造(TIPS-10/外部リンク)をやってみました。ちょうど入力カップリングコンデンサを取り付ける場所(C1, C51)が空いていたので、基板のパターンをカットしてここに日ケミ KMG 1000μF/25VとPanasonic ECHU 0.1μFをパラにして取り付けました。
これではハムノイズはほとんど減りませんでしたが、ちょっと音の立体感が増したように感じました。
次に、初期状態では採用していなかった抵抗式リップルフィルタを試すことにしました。
最初にリップルフィルタの音の傾向をつかむべくR80, R81(アンプに供給されるすべての電流が通る箇所)に10Ω 1/2Wの抵抗を入れてみました。使った抵抗は余り物のニッコームRP-24Cです。
これはハムノイズに効果てきめんでしたが、同時に音質もガラッと変わりました。音が遠くなり、良く言えばやさしい感じ、悪く言えばダラダラした感じになりました。私はもうちょっと元気の良い音にしたかったのと、このリップルフィルタで電源電圧が2Vくらい落ちてしまうのも気になり、さすがに却下。
次に、パターンを4か所カットして電圧増幅部だけに2.2Ωを入れてみました。
使用した抵抗はKOAのMF(いわゆる普通の金皮)1/4Wです。これは気に入りました。電圧降下は小さく、ハムノイズもバッチリ消え、音のダラダラ感も悪く感じるほどではありません。むしろ、全体的にガヤガヤしていた音が少し落ち着いて聞きやすくなったという感じ。
ハンダ付けが汚いので画像はありません!
ハムノイズ対策はこれで決定。
次にボリュームの交換です。前回書いたように10kΩ Aカーブでは音量変化が不自然でしたが、試しに部品箱に転がっていた安物の100kΩ Aカーブのものを付けてみると良い感じでした。ただ、安物のボリュームは音質・回したときの感触・左右の音量差などいろいろと難があるので、せっかくだからと良いものを使ってみることにしました。購入したのはソフトンのアッテネータ(100kΩ)。外見は完全にアルプスのミニデテントの模造品ですが中身は全く別物で、チップの金属皮膜抵抗を使った23接点のアッテネータです。ものが大きいと安心感がありますね。ハンダ付けもしやすいし。
さて、ケースに対してけっこうギリギリに近い大きさですが無事ボリュームを交換できました。回した感触はかなり安っぽいですが、音量調節がしやすくなり左右の音量差もないのでOKです。ただ、回したときに時々小さなノイズが入ります。スイッチのショーティングがうまくいっていない部分でもあるのでしょうか。気になるほどではないですし、値段を考えるとこんなものかなと思います。
また、最初についていたボリューム(Linkman RD925)との音質差ですが、数日間このアンプの音を聞いていなくて突然交換したのでよく分かりませんでした。交換直前にしっかり聞いておけば分かったかもしれませんね。
ボリュームの交換ついでに、入力端子からボリュームまでの配線材も太いものにかえておきました。最初に使っていたのは古いパソコンから取り出したIDEケーブルを裂いたもので、少々細すぎて頼りなかったものですから。
もうひとつ、ヒートシンクも交換しました。
最初はアルミ板1枚でしたが、交換後は銅板にアルミヒートシンクを取り付けた本格仕様(?)になり、放熱性能がかなり上がりました。
ヒートシンクと同じように熱対策として、終段のバイアス電流も減らしておきました。回路図のC10, C60と並列に4.7kΩの抵抗を入れます。
これで、終段トランジスタ1個あたりのバイアス電流は55mAから45mAに減りました。もう少し減らしても良いと思います。
ところで、せっかくヒートシンクを付けて放熱対策をバッチリしたのですが、狭いケースに入れてしまっては効果が半減どころではありません。そこで、ケースに穴をたくさん開けて熱気を逃すことにしました。
最初はパンチングメタルを買ってきてはめようかと思ったのですが、ケースに直接穴を開けた方がスマートでかっこいいと思って実行したのがこちら。
ああ……
ボール盤を使ってこの出来とは、さすがに悲しくなってきます。アルミ板がかなりしなるせいか、思ったように加工できませんでした。経験不足ですね。
しかし、ケースを買いなおすのも嫌なので今回はこれでいきましょう。これも自作らしい味わいということでOK,OK.
次に、空気の対流を促進するため下面にも穴を開けたのですが、この時はもう慣れていたので上面よりマシな出来になりました。
普段見えない下面を先にやって、慣れた所で上面に取り掛かるべきでしたね。これは今後の教訓とします。
意外に長くなってきたので、突然ですが今回はここまでです。
ダラダラとたくさん書いてしまって読みにくい記事になってしまい、すみません。
次回は完成編なのでもう少しはおもしろくなると思います。
つづく
今回からは、あちこちをいじってできるだけ好みのアンプにしていきたいと思います。
まずはケース加工。タカチのYM-250を使用しました。このYMシリーズはそこそこ安い上にツートンカラーでかっこいいのでよく使います。
外見はシンプルに、前面はヘッドホンジャック・電源スイッチ・ボリューム、後ろには入力端子・ヒューズホルダ・ACインレットと特筆すべきところのない普通のデザインです。
と、ここで問題が(って、ケース買う時点で薄々気づいてはいましたが)。
このケースは内側の高さが47mm程度しかないので、使いたかった6.3V2回路1Aのトランスが入りません。これは仕方がないので、割高でスペースを取りますが1回路の背が低いトランスを2つ使うことにしました。
この時点で全体の写真を撮り忘れていたので中途半端な画像しかありませんが、下のような感じです。下の画像では基板のアースが適当になっていますが、この後ちゃんとしっかり繋ぎなおしています。
トランスとアンプ基板の間にアルミ板の仕切りがありますが、これはハムノイズ低減等の具体的な効果を求めたというよりはファッションですね…ついている方がプロっぽくてかっこいいですから。実際、特に音に関する効果は認められません。
こういうムダをやっても誰も怒らないのが自作の良いところですね。
さて、一応箱に入って落ち着いて聞けるようになったので、いよいよ手を入れていきます。
注)以下の部品番号は、このページ(外部リンク)の回路図に準じます。自分仕様の回路図も一応作ってあるのですが、原典をご覧になる方が良いと思います。
まずは前回の記事に書いた、高音が出ない問題。
高周波がアンプに入らないように、仕様通り(C7, C57) 入力に220pFのスチロールコンデンサを入れてあったのですが、この値がちょっと大きすぎるのが原因と判断しました。
さっそくこのコンデンサを取り払ってみると、やはり思った通り高音が出るようになりました。しかしこのコンデンサ無しではやはり若干不安なので、無線部の部室に転がっていた62pFのマイカコンデンサを付けておきました。これでOKでしょう。
取り外された後の220pFスチコンと、取り付けを控えた62pFマイカコン
次にハムノイズ。常用しているヘッドホン K712PROでは全く聞こえないので問題ないのですが、低インピーダンス高能率のイヤホンではそこそこ聞こえるので退治したくなりました。
このハムはトランスと基板の位置関係を変えてみても変化しないので、電磁波として飛び込んでいるのではなく電源に乗っているリップルが原因と考えました。
そこで、手始めに電圧増幅段の近くにコンデンサを追加する改造(TIPS-10/外部リンク)をやってみました。ちょうど入力カップリングコンデンサを取り付ける場所(C1, C51)が空いていたので、基板のパターンをカットしてここに日ケミ KMG 1000μF/25VとPanasonic ECHU 0.1μFをパラにして取り付けました。
これではハムノイズはほとんど減りませんでしたが、ちょっと音の立体感が増したように感じました。
次に、初期状態では採用していなかった抵抗式リップルフィルタを試すことにしました。
最初にリップルフィルタの音の傾向をつかむべくR80, R81(アンプに供給されるすべての電流が通る箇所)に10Ω 1/2Wの抵抗を入れてみました。使った抵抗は余り物のニッコームRP-24Cです。
これはハムノイズに効果てきめんでしたが、同時に音質もガラッと変わりました。音が遠くなり、良く言えばやさしい感じ、悪く言えばダラダラした感じになりました。私はもうちょっと元気の良い音にしたかったのと、このリップルフィルタで電源電圧が2Vくらい落ちてしまうのも気になり、さすがに却下。
次に、パターンを4か所カットして電圧増幅部だけに2.2Ωを入れてみました。
使用した抵抗はKOAのMF(いわゆる普通の金皮)1/4Wです。これは気に入りました。電圧降下は小さく、ハムノイズもバッチリ消え、音のダラダラ感も悪く感じるほどではありません。むしろ、全体的にガヤガヤしていた音が少し落ち着いて聞きやすくなったという感じ。
ハンダ付けが汚いので画像はありません!
ハムノイズ対策はこれで決定。
次にボリュームの交換です。前回書いたように10kΩ Aカーブでは音量変化が不自然でしたが、試しに部品箱に転がっていた安物の100kΩ Aカーブのものを付けてみると良い感じでした。ただ、安物のボリュームは音質・回したときの感触・左右の音量差などいろいろと難があるので、せっかくだからと良いものを使ってみることにしました。購入したのはソフトンのアッテネータ(100kΩ)。外見は完全にアルプスのミニデテントの模造品ですが中身は全く別物で、チップの金属皮膜抵抗を使った23接点のアッテネータです。ものが大きいと安心感がありますね。ハンダ付けもしやすいし。
このアッテネータの裏にはALPS JAPANと印刷されていますが、さすがにマズいということなのか(?)、手元に届いたときには黒く塗りつぶされていました。
また、最初についていたボリューム(Linkman RD925)との音質差ですが、数日間このアンプの音を聞いていなくて突然交換したのでよく分かりませんでした。交換直前にしっかり聞いておけば分かったかもしれませんね。
ボリュームの交換ついでに、入力端子からボリュームまでの配線材も太いものにかえておきました。最初に使っていたのは古いパソコンから取り出したIDEケーブルを裂いたもので、少々細すぎて頼りなかったものですから。
もうひとつ、ヒートシンクも交換しました。
最初はアルミ板1枚でしたが、交換後は銅板にアルミヒートシンクを取り付けた本格仕様(?)になり、放熱性能がかなり上がりました。
剣山状態です。
ヒートシンクと同じように熱対策として、終段のバイアス電流も減らしておきました。回路図のC10, C60と並列に4.7kΩの抵抗を入れます。
これで、終段トランジスタ1個あたりのバイアス電流は55mAから45mAに減りました。もう少し減らしても良いと思います。
ところで、せっかくヒートシンクを付けて放熱対策をバッチリしたのですが、狭いケースに入れてしまっては効果が半減どころではありません。そこで、ケースに穴をたくさん開けて熱気を逃すことにしました。
最初はパンチングメタルを買ってきてはめようかと思ったのですが、ケースに直接穴を開けた方がスマートでかっこいいと思って実行したのがこちら。
ああ……
ボール盤を使ってこの出来とは、さすがに悲しくなってきます。アルミ板がかなりしなるせいか、思ったように加工できませんでした。経験不足ですね。
しかし、ケースを買いなおすのも嫌なので今回はこれでいきましょう。これも自作らしい味わいということでOK,OK.
次に、空気の対流を促進するため下面にも穴を開けたのですが、この時はもう慣れていたので上面よりマシな出来になりました。
普段見えない下面を先にやって、慣れた所で上面に取り掛かるべきでしたね。これは今後の教訓とします。
意外に長くなってきたので、突然ですが今回はここまでです。
ダラダラとたくさん書いてしまって読みにくい記事になってしまい、すみません。
次回は完成編なのでもう少しはおもしろくなると思います。
つづく
2016年9月11日日曜日
ヘッドホンアンプHPA-12の製作(1)
今年5月からオーディオ関連の電子工作をやりはじめ、ヘッドホンアンプもいくつか作ってきました。
しかし、手持ちのOlasonic NANO-D1に勝るものはさすがに作れず(アマチュアなので当たり前ですが)、いつかはこれに対抗できるようなしっかりしたヘッドホンアンプを1台作りたいと思っていました。
そこで偶然見つけたのがHPA-12(外部リンク)というヘッドホンアンプ。
これはtakazineさんという方の設計になるもので、回路図をはじめとするさまざまな情報が公開されており、基板の頒布もあり、自分で部品を集めてある程度アレンジしながら作ることができるというフルディスクリートのヘッドホンアンプです。
ディスクリートのアンプを自分でゼロから作る自信は無いので、勉強も兼ねてこれに頼ることにしました。
早速スイッチサイエンスで基板を1枚購入し、秋葉原で部品集め。できたのがこちら。
回路は基本的にこのページ(外部リンク)と同じですが、初段は2SK2145、終段はTTA004B/TTC004Bに変更しています(ちなみに現在はTTA004B/TTC004Bに最適化された回路図が公開されていますが、私がこれを作った7月下旬にはまだありませんでした)。
また、A級アンプなので発熱が多かろうと思い、無線部の部室に転がっていたアルミ板を適当に加工した放熱板を付けました。
さて、これをトランス電源に繋いで聞いてみました。
構成は、
Win10 ノートPC (AIMP4 WASAPI排他モード)→NANO-D1(LINE出力)→HPA-12→K712PRO
という感じです。
最初はとんでもなくザラザラした感じの音でしたが、半日ほど音楽を流しっぱなしにしておくとクリアになりました。電解コンデンサのエージングというやつでしょう。
このアンプはDC直結ですが、安定してからのDC漏れは左右ともに±1mV程度と全く問題ありません。
解像度はけっこう高く、立体感もあります。パワーもじゅうぶんで、比較的高インピーダンス低能率な私のヘッドホンもじゅうぶん鳴らせています。DC直結なので低音はよく出ています。
ただ高音が全然出ておらず、K712の特長であるきれいな高音が楽しめません。また、中音域は少しガヤガヤしてうるさく、あまり音量を上げたくない感じです。
また、低インピーダンス&高能率なイヤホンでは少しハム音が聞こえます。常用しているK712PROでは全く聞こえないので問題ないといえばそれまでですが。
あと、想定よりも発熱が多く、上の写真で放熱板の後ろに写っている電解コンデンサ(85℃品)がちょっと心配になります。
そうそう、書き忘れていましたが、普通に音楽を聞くうえで重大な欠陥がありました。これはアンプ自体が悪いわけではなく私の単なるミスですが、ボリュームに10kΩAのもの(Linkman RD925)を採用したところ、音量調整が極めて難しいアンプになってしまいました。ボリュームを完全に絞ったところから少し回すとすぐ爆音になってしまいます。しかも、ボリューム9時くらいまでは若干左右の音量差も感じられます。これも要改善ポイント。
というわけでこの時点では目標とするNANO-D1の音には全然及びませんし、発熱が多すぎるので安心して使えません。そこで、このアンプをどんどんいじってしまいました。1か所変更するたびに試聴が必要ですし、改良のつもりが改悪になってしまうこともしばしばあって意外に大変な作業でしたが、かなり好みの音に近づいたと思います。
続き: ヘッドホンアンプHPA-12の製作(2)
しかし、手持ちのOlasonic NANO-D1に勝るものはさすがに作れず(アマチュアなので当たり前ですが)、いつかはこれに対抗できるようなしっかりしたヘッドホンアンプを1台作りたいと思っていました。
そこで偶然見つけたのがHPA-12(外部リンク)というヘッドホンアンプ。
これはtakazineさんという方の設計になるもので、回路図をはじめとするさまざまな情報が公開されており、基板の頒布もあり、自分で部品を集めてある程度アレンジしながら作ることができるというフルディスクリートのヘッドホンアンプです。
ディスクリートのアンプを自分でゼロから作る自信は無いので、勉強も兼ねてこれに頼ることにしました。
早速スイッチサイエンスで基板を1枚購入し、秋葉原で部品集め。できたのがこちら。
回路は基本的にこのページ(外部リンク)と同じですが、初段は2SK2145、終段はTTA004B/TTC004Bに変更しています(ちなみに現在はTTA004B/TTC004Bに最適化された回路図が公開されていますが、私がこれを作った7月下旬にはまだありませんでした)。
また、A級アンプなので発熱が多かろうと思い、無線部の部室に転がっていたアルミ板を適当に加工した放熱板を付けました。
さて、これをトランス電源に繋いで聞いてみました。
構成は、
Win10 ノートPC (AIMP4 WASAPI排他モード)→NANO-D1(LINE出力)→HPA-12→K712PRO
という感じです。
最初はとんでもなくザラザラした感じの音でしたが、半日ほど音楽を流しっぱなしにしておくとクリアになりました。電解コンデンサのエージングというやつでしょう。
このアンプはDC直結ですが、安定してからのDC漏れは左右ともに±1mV程度と全く問題ありません。
解像度はけっこう高く、立体感もあります。パワーもじゅうぶんで、比較的高インピーダンス低能率な私のヘッドホンもじゅうぶん鳴らせています。DC直結なので低音はよく出ています。
ただ高音が全然出ておらず、K712の特長であるきれいな高音が楽しめません。また、中音域は少しガヤガヤしてうるさく、あまり音量を上げたくない感じです。
また、低インピーダンス&高能率なイヤホンでは少しハム音が聞こえます。常用しているK712PROでは全く聞こえないので問題ないといえばそれまでですが。
あと、想定よりも発熱が多く、上の写真で放熱板の後ろに写っている電解コンデンサ(85℃品)がちょっと心配になります。
そうそう、書き忘れていましたが、普通に音楽を聞くうえで重大な欠陥がありました。これはアンプ自体が悪いわけではなく私の単なるミスですが、ボリュームに10kΩAのもの(Linkman RD925)を採用したところ、音量調整が極めて難しいアンプになってしまいました。ボリュームを完全に絞ったところから少し回すとすぐ爆音になってしまいます。しかも、ボリューム9時くらいまでは若干左右の音量差も感じられます。これも要改善ポイント。
というわけでこの時点では目標とするNANO-D1の音には全然及びませんし、発熱が多すぎるので安心して使えません。そこで、このアンプをどんどんいじってしまいました。1か所変更するたびに試聴が必要ですし、改良のつもりが改悪になってしまうこともしばしばあって意外に大変な作業でしたが、かなり好みの音に近づいたと思います。
続き: ヘッドホンアンプHPA-12の製作(2)
2016年8月21日日曜日
ハムフェアに行ってきました
ハムフェアには、初日(8/20)に行ってきました。
中高時代の社団局JA4YMQの同級生と待ち合わせをして、11時半に入場。
ハムフェア初参加の昨年は出展者としてずっと会場内にいたので、入場券売り場にあんなに大行列ができるものだとは知りませんでした。
さて入場してからですが、2人とも特に買いたいものは無かったので、クラブブースはただ見て回るだけでした。あちこちのブースにツイッターで知り合った無線家の方々がおられ、お話ができて楽しかったです。
企業ブースに関しては、FT-991のマイナーチェンジ版であるFT-991Aに注目していたのですが、こちらは少々期待外れでした。というのも新たに追加された目玉機能としてリアルタイムのスペクトラムスコープがあるのですが、この動作速度がちょっと遅く、また991の元々の画面の小ささもあってあまり有用な物とは思えなかったのです。それに、991Aは144/430MHzが使えるとはいえIC-7300との価格差がかなりあります。
これなら、991Aを買うよりは、安くなった991無印を買う方がいいかも?と思いました(どっちも買う予定ありませんが)。
ICOMとKENWOODもそれぞれ新機種を発表していて、盛り上がっているようでした。
午後は大学の社団局の先輩方と合流し、また会場内をぐるぐる見て回りましたが、ジャンク探し等で新たな発見がいろいろあり、何周めぐっても飽きないという感じでした。やっぱり何も買いませんでしたが…
終了後は、大学生をはじめとする若手ハムの飲み会に参加して楽しいひと時を過ごしました。
特に、参加者から集めた従免をシャッフルして席順を決めたときなどはなかなかの見ものでした。20枚近くの免許証(ほとんど1アマ)が幹事の手の中に…
2日目も行こうかと思ったのですが結局行きませんでした。
今回アイボールしていただいたみなさん、ありがとうございました。
来年はまた大学の社団局で出展するかもしれません。
中高時代の社団局JA4YMQの同級生と待ち合わせをして、11時半に入場。
ハムフェア初参加の昨年は出展者としてずっと会場内にいたので、入場券売り場にあんなに大行列ができるものだとは知りませんでした。
さて入場してからですが、2人とも特に買いたいものは無かったので、クラブブースはただ見て回るだけでした。あちこちのブースにツイッターで知り合った無線家の方々がおられ、お話ができて楽しかったです。
企業ブースに関しては、FT-991のマイナーチェンジ版であるFT-991Aに注目していたのですが、こちらは少々期待外れでした。というのも新たに追加された目玉機能としてリアルタイムのスペクトラムスコープがあるのですが、この動作速度がちょっと遅く、また991の元々の画面の小ささもあってあまり有用な物とは思えなかったのです。それに、991Aは144/430MHzが使えるとはいえIC-7300との価格差がかなりあります。
これなら、991Aを買うよりは、安くなった991無印を買う方がいいかも?と思いました(どっちも買う予定ありませんが)。
ICOMとKENWOODもそれぞれ新機種を発表していて、盛り上がっているようでした。
午後は大学の社団局の先輩方と合流し、また会場内をぐるぐる見て回りましたが、ジャンク探し等で新たな発見がいろいろあり、何周めぐっても飽きないという感じでした。やっぱり何も買いませんでしたが…
終了後は、大学生をはじめとする若手ハムの飲み会に参加して楽しいひと時を過ごしました。
特に、参加者から集めた従免をシャッフルして席順を決めたときなどはなかなかの見ものでした。20枚近くの免許証(ほとんど1アマ)が幹事の手の中に…
2日目も行こうかと思ったのですが結局行きませんでした。
今回アイボールしていただいたみなさん、ありがとうございました。
来年はまた大学の社団局で出展するかもしれません。
2016年8月9日火曜日
第59回フィールドデーコンテストに参加
8月6日から7日にかけて行われた第59回フィールドデーコンテストに、大学の社団局のコールサインで参加しました。
金曜日の朝に部室に集合、レンタカーのハイエースで群馬県某所の移動地へ。
途中の高速道路のPAから運用地まで運転しましたが、ハイエースは視界が広くて思ったより運転しやすかったです。
昼過ぎに運用地に着いたら、場所だけ確保しておいてすぐ買い出しに向かいました。適当なキャンプではどうしても野菜不足になりがちなので野菜ジュースを独断で買いましたが、積極的に飲んでいたのは結局私だけだったようです…
この日は3.5MHz以外のHFのアンテナをだいたい設営し終えて、夜は温泉に行ったりバーベキューをしたりして遊んでいました。
翌日は3.5MHzのDPとV/Uのアンテナを設営し、午後のおやつ時には後発組を迎えてテスト運用。
なんだかんだであっという間に時間が経ち、17時からは開始バンド選びとCQ周波数確保を始めました。人数が少なくてオールバンドでは戦えないため2波で出ることにしていたので、バンド選びは特に重要です。
結局開始バンドは7MHz SSBと430MHz FMという組み合わせに決まり18時を迎えたのですが、どうも7メガの調子が悪いとのこと。私はあまり聞いていないので詳細はよくわかりませんが、近隣に別の局がいたのか混変調?抑圧?のような現象が起こっていたそうで、ほとんど交信できていませんでした。430MHzは順調だったようです。
ログが手元にないので詳細は書けませんが、その後、夜と朝方の3.5MHzが結構伸びていたようでした。長いダイポールを苦労して張った甲斐がありました。
2日目は免許取りたての1年生やコンテスト未経験者の練習も兼ねて、電話はサブオペを付けた運用を結構やっていました。といっても私はほぼCWしかやっていなかったのであまりそちらにはかかわっていませんが。
7メガの調子があまり良くなかったこともありスコアは大して良くないでしょうが、1年生を中心とした部員の様々なスキル向上という意味では非常に実りの多いコンテストだったと思います。
コンテスト終了後は2時間で片づけを済ませて撤収し、温泉に入って水沢うどんを食べて帰りました。
金曜日の朝に部室に集合、レンタカーのハイエースで群馬県某所の移動地へ。
途中の高速道路のPAから運用地まで運転しましたが、ハイエースは視界が広くて思ったより運転しやすかったです。
写真:運用地にて
昼過ぎに運用地に着いたら、場所だけ確保しておいてすぐ買い出しに向かいました。適当なキャンプではどうしても野菜不足になりがちなので野菜ジュースを独断で買いましたが、積極的に飲んでいたのは結局私だけだったようです…
この日は3.5MHz以外のHFのアンテナをだいたい設営し終えて、夜は温泉に行ったりバーベキューをしたりして遊んでいました。
翌日は3.5MHzのDPとV/Uのアンテナを設営し、午後のおやつ時には後発組を迎えてテスト運用。
写真:3.5MHz DPの設営中。急斜面を利用して地上高を稼いだが、調整するときに人が急斜面を下らねばならず大変苦労した
なんだかんだであっという間に時間が経ち、17時からは開始バンド選びとCQ周波数確保を始めました。人数が少なくてオールバンドでは戦えないため2波で出ることにしていたので、バンド選びは特に重要です。
結局開始バンドは7MHz SSBと430MHz FMという組み合わせに決まり18時を迎えたのですが、どうも7メガの調子が悪いとのこと。私はあまり聞いていないので詳細はよくわかりませんが、近隣に別の局がいたのか混変調?抑圧?のような現象が起こっていたそうで、ほとんど交信できていませんでした。430MHzは順調だったようです。
ログが手元にないので詳細は書けませんが、その後、夜と朝方の3.5MHzが結構伸びていたようでした。長いダイポールを苦労して張った甲斐がありました。
2日目は免許取りたての1年生やコンテスト未経験者の練習も兼ねて、電話はサブオペを付けた運用を結構やっていました。といっても私はほぼCWしかやっていなかったのであまりそちらにはかかわっていませんが。
7メガの調子があまり良くなかったこともありスコアは大して良くないでしょうが、1年生を中心とした部員の様々なスキル向上という意味では非常に実りの多いコンテストだったと思います。
コンテスト終了後は2時間で片づけを済ませて撤収し、温泉に入って水沢うどんを食べて帰りました。
2016年7月26日火曜日
LME49600を使ったヘッドホンアンプの自作
先月、ヘッドホンアンプを作ったのですがここで紹介するのを忘れていました。
最初はオペアンプ1個+ダイヤモンドバッファという超定番の回路を考えていたのですが少しメンドくさくなってしまい、ディスクリートのダイヤモンドバッファの代わりにバッファICであるLME49600を使ってみました。「代わりに」と言ってもこのICの中身もダイヤモンドバッファなので、実質同じようなものですが…
ほぼデータシート通りの使い方をするので、アッという間に回路図が書けます。
最初は上の回路図で3kΩのところが4.7kΩだったのですが、ウォークマンから信号を入力したときに力不足を感じたので抵抗値を変更して少しゲインを上げました。何しろ主に使うヘッドホンが高インピーダンス低感度のAKGのK712Pro(インピーダンス62Ω、感度93dB)なので…
もともとは以前実験して効果に驚嘆したDCサーボをつける予定だったのですが、これも面倒になってカップリングコンデンサで済ませました。といってもMUSE KZ 1000μFとECHU 0.18μF(回路図には入っていませんが)をパラにして使っており、音質の劣化は最小限に抑えられているものと思います。
実はコンデンサなしでも出力オフセットは5mV未満に収まっているので、DC直結にしても多分大丈夫です。
アンプ部はユニバーサル基板でつくり、メンテナンス性を考慮して入出力は全てピンヘッダ・ピンソケットを使って簡単に基板を外せるようにしています。電源部は信頼性を重視して秋月の電源キットを使いました。プラスマイナス15Vです。
高さを抑えるため、正電源と負電源でトランスを1つずつ使っています。
ボリュームはコストパフォーマンスが高いと言われるマルツのRD925Gです。
抵抗は千石で買ったタクマンのREYとニッコームのRP-24C、一応評判の良いものですが、果たして自分の耳とこの安アンプで抵抗の違いが分かるかと言われるとはなはだ怪しいです。まあ気分の問題です。
作ってしばらく聞いてみてから、LME49600の発熱が少し気になったので銅板を適当に曲げてヒートシンクを作り、LME49600のフィンに直接はんだ付けしました。ということはこのヒートシンクには負電源の電圧がそのまま出ているわけで、注意が必要です。
オペアンプもFET入力のものを数種類とりかえて聞いてみましたが、無難にMUSES8920に落ち着きました。
外観はこんな感じ。電源LEDすらなくシンプルです。
音は、簡単な回路の割には思ったより良かったです。
Olasonic NANO-D1と比べると高音がぼやけていますが、低音の量だけは多いです。
解像度と音の広がりについては…まあ、さすがに結構な値段のNANO-D1と比べるのはかわいそうなのでこの辺にしておきます。でもこの自作アンプも決して悪くはないですよ。
しかし、オペアンプを使うと簡単ですし、誰が作っても同じ回路にしかならないので達成感も薄いです。
この辺でオペアンプはいったんやめにして、ディスクリートにチャレンジしてみたいと思っています。
2016年7月14日木曜日
NANO-D1 縦置きスタンドの製作
机周りのスペースの関係でDAC兼ヘッドホンアンプのNANO-D1を縦置きしているのですが、どうしても不安定で倒れそうなので精神衛生上よくありませんでした(実際に倒れたことは無かった)。
メーカーの公式通販サイトで縦置きスタンドも販売されているのですが、これも底面積が小さくイマイチ安定しなさそうな形状。
ということで、自作することにしました。
材料は、加工しやすく安っぽくなく、かつNANO-D1のデザインとマッチするものをと考え木を選びました。近所のホームセンターでアガチスの板(100×600×5mm)と角材を購入、計約500円。
アガチスは建具や将棋盤・ギターにも使われる素材だそうです。
これを無線部室で加工します。電子工作はよくやりますが、木工は中学生以来かも知れません。
できました。縦17cm、横10cmになるようカットした板に、約8cmに切った角材を接着剤で貼りつけ、四隅に固定用の穴をあけただけのシンプル構造です。この記事の最初の方でデザイン云々と書きましたが、改めて見るとこのスタンド、デザイン性皆無ですね。
下の写真でお分かりの通り、角材を本体の突起(足)で挟むような構造になっているため前後にずれることがありません。
こんな感じで使っています。せっかく開けた固定用の穴は使っていませんが、じゅうぶん安定しています。
メーカーの公式通販サイトで縦置きスタンドも販売されているのですが、これも底面積が小さくイマイチ安定しなさそうな形状。
ということで、自作することにしました。
材料は、加工しやすく安っぽくなく、かつNANO-D1のデザインとマッチするものをと考え木を選びました。近所のホームセンターでアガチスの板(100×600×5mm)と角材を購入、計約500円。
アガチスは建具や将棋盤・ギターにも使われる素材だそうです。
これを無線部室で加工します。電子工作はよくやりますが、木工は中学生以来かも知れません。
できました。縦17cm、横10cmになるようカットした板に、約8cmに切った角材を接着剤で貼りつけ、四隅に固定用の穴をあけただけのシンプル構造です。この記事の最初の方でデザイン云々と書きましたが、改めて見るとこのスタンド、デザイン性皆無ですね。
下の写真でお分かりの通り、角材を本体の突起(足)で挟むような構造になっているため前後にずれることがありません。
こんな感じで使っています。せっかく開けた固定用の穴は使っていませんが、じゅうぶん安定しています。
2016年7月13日水曜日
USBケーブルで音質は変わるか?ブラインドテスト
オーディオ界には、思わず「本当か?」と疑いたくなるような音質改善法が多くあります。具体的に何とは言いませんが、中には明らかにおかしいカルトまがいの説をとなえる人もいます。
近年、パソコンを使ったオーディオ鑑賞が普及するにつれ、そのような怪しげな説に新たに加わったのがこちらです。「パソコンとDACを繋ぐUSBケーブルを変えると音が変わる」
「USBケーブルはデジタル信号を伝送しているのだから、途中でそのデータが壊れてしまわない限りは音の変化などあるはずがない。もしデータが壊れたとしてもそれはデジタル的な変化であり、アナログ的な(例えば「高域が云々、低域が云々」という)変化としては出てこない。」
と考える人が多いと思いますし、自分自身そう考えていました。
しかしインターネットで検索してみると、思ったよりこの「USBケーブル音質変化説」は支持を得ています。ただし、単に「交換したら音が変わりました!」といった類の記事が多く、プラシーボ効果の疑いが否定できません。(キチンと調査しているサイトもありますが)
そこで私はこの説の真偽を確かめるべく「オーディオ用USBケーブル」なるものをヤマダ電機のポイントで購入し(効果不明なものに現金は使いたくなかった)、耳の良い後輩にも来てもらってブラインドテストをすることにしました。
というわけで買ってきたケーブルがこちら。ELECOMのDH-AB10です。
このケーブルは新発売のものだそうで、まだネット上でレビューを見られなかったため、先入観の小さいテストができそうです。
パッケージの表には、「金メッキ端子」「99.95%OFC(無酸素銅)」などの売り文句にまじって「デジタル伝送」という至極当たり前のことが麗しく書かれており、若干胡散臭い感じを醸し出しています。ケーブル自体はかなり細く、切れそうで不安です。高級感を出すためなのか、編み込みケーブルになっています。コネクタはパッケージの文句通り金メッキの立派な物が付いています。
比較対象はこれ。
昔のプリンターか何かに付属していたUSBケーブルだと思います。太くて丈夫そうですし両端にフェライトコアまで付いていて、そんなに安物っぽくはありません。
-----
【被験者】
・当ブログ管理人(JO4EFC)
…理系の大学2年生。アナログ電子回路の知識が少しだけある。第1級アマチュア無線技士。USBケーブルで音が変わるという説には懐疑的。
・E君
…理系の大学1年生。デジタル回路・プログラミング・コンピュータ全般に詳しい。高校時代は放送部に所属。以前、私が判別できなかった2台のアンプの違いを判別したことがある良耳の持ち主。USBケーブルで音が変わるという説には否定的。
【手順】
(1) ひとりがシステムを操作して音楽を流し、もうひとりはUSBケーブルが見えない位置でヘッドホンを使いそれを聞く。音楽を聞いている人は、どちらのUSBケーブルを使用しているか知らされていない。
(2) システム操作係がUSBケーブルを交換し、再び手順(1)を行う。
(3)試聴が終わったあと、使用したケーブルの順番を発表する。感想はまだ発表しない。
(4) システム操作係とリスニング係を交代し、手順(1)から(3)を行う。
(5)全ての操作が終了した後、音の感想を発表する。
【比較したUSBケーブル】
・ELECOM DH-AB10 (長さ1m) 下画像左
・素性不明の汎用USBケーブル (長さ1.5m) 下画像右
【USBケーブル以外の使用機材・環境】
PC: TOSHIBA PT75-78MHXR (OSはWindows 10にアップグレード済)
再生ソフト: foobar2000 (WASAPI排他モード)
DAC: Olasonic NANO-D1 (専用ドライバ使用)
ヘッドホン: AKG K712PRO
音源: Stingの "Lazarus Heart" 44.1kHz 16bitのFLACファイル
【結果(というより感想)】
・当ブログ管理人の感想
DH-AB10と汎用ケーブルでは音質が明らかに違う。特に高音部の差が分かりやすかった。DH-AB10ではシンバルの音がくっきり聞こえるのに対し、汎用ケーブルではどうもぼやけがちである。
・E君の感想(テスト終了後に書いてもらったものをそのまま掲載)
DH-AB10
高音の「ハリ」
ベースの鳴らした後の残響が最後まで聞こえる
解像度がずっと高い
汎用ケーブル
明らかに低音が不自然に消えている
高音が張っていない(全体の音量に対する強さ)
シンバルなどパーカッション系の乱れ(ノイズに近いがまた違う)
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音質が明らかに違いました(2本目を聞き始めてすぐ分かりました)。しかも、私の感想とE君の感想は高音について合致しています。
E君は、私が言葉にできなかった低音部の違いや全体的なことにも言及してくれました。彼も信じられないという面持でしたが、実際に音が変わってしまったのですから仕方がありません。
これをお読みの方の中にはこの結果を疑う方も多いと思いますが、疑うなら実際に聴いてみてください、としか言いようがありません。不思議です。
不思議といってもこれは超常現象であるはずがなく、必ず物理的に説明できるはずです。USBケーブルでは電源ラインと信号ラインが並列に走っていますが、ここで電源ラインから信号ラインにノイズが乗り移ってDAC内部のアナログ回路に影響を与えるということくらいしか思いつきませんでした。しかし今回使ったDACの電源はUSBバスパワーではありませんし、こんな理由で本当に上に書いたような変化が生じるものでしょうか。
とにかく、もっとUSBについて勉強が必要なようです。
近年、パソコンを使ったオーディオ鑑賞が普及するにつれ、そのような怪しげな説に新たに加わったのがこちらです。「パソコンとDACを繋ぐUSBケーブルを変えると音が変わる」
「USBケーブルはデジタル信号を伝送しているのだから、途中でそのデータが壊れてしまわない限りは音の変化などあるはずがない。もしデータが壊れたとしてもそれはデジタル的な変化であり、アナログ的な(例えば「高域が云々、低域が云々」という)変化としては出てこない。」
と考える人が多いと思いますし、自分自身そう考えていました。
しかしインターネットで検索してみると、思ったよりこの「USBケーブル音質変化説」は支持を得ています。ただし、単に「交換したら音が変わりました!」といった類の記事が多く、プラシーボ効果の疑いが否定できません。(キチンと調査しているサイトもありますが)
そこで私はこの説の真偽を確かめるべく「オーディオ用USBケーブル」なるものをヤマダ電機のポイントで購入し(効果不明なものに現金は使いたくなかった)、耳の良い後輩にも来てもらってブラインドテストをすることにしました。
というわけで買ってきたケーブルがこちら。ELECOMのDH-AB10です。
このケーブルは新発売のものだそうで、まだネット上でレビューを見られなかったため、先入観の小さいテストができそうです。
パッケージの表には、「金メッキ端子」「99.95%OFC(無酸素銅)」などの売り文句にまじって「デジタル伝送」という至極当たり前のことが麗しく書かれており、若干胡散臭い感じを醸し出しています。ケーブル自体はかなり細く、切れそうで不安です。高級感を出すためなのか、編み込みケーブルになっています。コネクタはパッケージの文句通り金メッキの立派な物が付いています。
比較対象はこれ。
昔のプリンターか何かに付属していたUSBケーブルだと思います。太くて丈夫そうですし両端にフェライトコアまで付いていて、そんなに安物っぽくはありません。
さて、2人ともUSBケーブル音質変化説をあまり信じておらず、どちらかというと「音質が変わらないことを確かめよう」という気持ちでテストに臨みました。
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【被験者】
・当ブログ管理人(JO4EFC)
…理系の大学2年生。アナログ電子回路の知識が少しだけある。第1級アマチュア無線技士。USBケーブルで音が変わるという説には懐疑的。
・E君
…理系の大学1年生。デジタル回路・プログラミング・コンピュータ全般に詳しい。高校時代は放送部に所属。以前、私が判別できなかった2台のアンプの違いを判別したことがある良耳の持ち主。USBケーブルで音が変わるという説には否定的。
【手順】
(1) ひとりがシステムを操作して音楽を流し、もうひとりはUSBケーブルが見えない位置でヘッドホンを使いそれを聞く。音楽を聞いている人は、どちらのUSBケーブルを使用しているか知らされていない。
(2) システム操作係がUSBケーブルを交換し、再び手順(1)を行う。
(3)試聴が終わったあと、使用したケーブルの順番を発表する。感想はまだ発表しない。
(4) システム操作係とリスニング係を交代し、手順(1)から(3)を行う。
(5)全ての操作が終了した後、音の感想を発表する。
【比較したUSBケーブル】
・ELECOM DH-AB10 (長さ1m) 下画像左
・素性不明の汎用USBケーブル (長さ1.5m) 下画像右
【USBケーブル以外の使用機材・環境】
PC: TOSHIBA PT75-78MHXR (OSはWindows 10にアップグレード済)
再生ソフト: foobar2000 (WASAPI排他モード)
DAC: Olasonic NANO-D1 (専用ドライバ使用)
ヘッドホン: AKG K712PRO
音源: Stingの "Lazarus Heart" 44.1kHz 16bitのFLACファイル
【結果(というより感想)】
・当ブログ管理人の感想
DH-AB10と汎用ケーブルでは音質が明らかに違う。特に高音部の差が分かりやすかった。DH-AB10ではシンバルの音がくっきり聞こえるのに対し、汎用ケーブルではどうもぼやけがちである。
・E君の感想(テスト終了後に書いてもらったものをそのまま掲載)
DH-AB10
高音の「ハリ」
ベースの鳴らした後の残響が最後まで聞こえる
解像度がずっと高い
汎用ケーブル
明らかに低音が不自然に消えている
高音が張っていない(全体の音量に対する強さ)
シンバルなどパーカッション系の乱れ(ノイズに近いがまた違う)
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音質が明らかに違いました(2本目を聞き始めてすぐ分かりました)。しかも、私の感想とE君の感想は高音について合致しています。
E君は、私が言葉にできなかった低音部の違いや全体的なことにも言及してくれました。彼も信じられないという面持でしたが、実際に音が変わってしまったのですから仕方がありません。
これをお読みの方の中にはこの結果を疑う方も多いと思いますが、疑うなら実際に聴いてみてください、としか言いようがありません。不思議です。
不思議といってもこれは超常現象であるはずがなく、必ず物理的に説明できるはずです。USBケーブルでは電源ラインと信号ラインが並列に走っていますが、ここで電源ラインから信号ラインにノイズが乗り移ってDAC内部のアナログ回路に影響を与えるということくらいしか思いつきませんでした。しかし今回使ったDACの電源はUSBバスパワーではありませんし、こんな理由で本当に上に書いたような変化が生じるものでしょうか。
とにかく、もっとUSBについて勉強が必要なようです。
2016年7月3日日曜日
第46回 6m AND DOWN コンテストに参加
大学の社団局から、6m AND DOWN コンテストに参加してきました。
といっても夜間は部室を使うことができないので、2日目の朝10時前くらいからの運用です。
午前はしばらく430FMでCQを出した後、先月免許を取った1年生の横について430FMの指導&ログ取り係をやっていました。ツイッターのフォロワーの方々ともかなり交信できましたが、挨拶する時間がなかったのが残念です。
1年生もだいぶ慣れてきたので、フィールドデーコンテストでは1人で運用できるでしょう。
午後は144MHzのSSBでCQを出し、CWで一通り呼びまわりをしてコンテストを終えました。
どのバンドもあまり途切れることなく交信でき、なかなか楽しかったです。
交信していただいた皆様、ありがとうございました。
2016年6月13日月曜日
EPSON MR4000 CPU交換
2010年発売のデスクトップパソコン、EPSON MR-4000のCPUを交換しました。
元々入っていたのはIntelのCore i5-661。
これを中古のCore i7-860に換えます。
特に今までのCPUで困ったことがあったわけではありませんが、同じソケットのCPUが偶然手に入ったもので…まあ、i7の方がかっこいいので換えただけです。ただの自己満足ですね。
まずファンとヒートシンクを外し…
新しい(中古ですが)CPUを入れてグリスを塗り、放熱器を戻して完了。
特に何事もなく起動し…といいたいところですが、画面の解像度が低くなってしまいました。少しヒヤッとしましたが、普通の手順で元の解像度に戻せました。
さて、落ち着いたところでWindows エクスペリエンス インデックスを比較しました。
交換前
交換後
プロセッサのスコアは7.0から7.5に上がりました。RAMのスコアも上がっていますが、なぜでしょうか…
今のところ、特に問題なく動いています。少し古いPCですが、メモリも4GBから8GBに増やしてありますし、もうしばらくは働いてもらうつもりです。
元々入っていたのはIntelのCore i5-661。
これを中古のCore i7-860に換えます。
特に今までのCPUで困ったことがあったわけではありませんが、同じソケットのCPUが偶然手に入ったもので…まあ、i7の方がかっこいいので換えただけです。ただの自己満足ですね。
まずファンとヒートシンクを外し…
古いCPUを取り外します。
特に何事もなく起動し…といいたいところですが、画面の解像度が低くなってしまいました。少しヒヤッとしましたが、普通の手順で元の解像度に戻せました。
さて、落ち着いたところでWindows エクスペリエンス インデックスを比較しました。
交換前
交換後
プロセッサのスコアは7.0から7.5に上がりました。RAMのスコアも上がっていますが、なぜでしょうか…
今のところ、特に問題なく動いています。少し古いPCですが、メモリも4GBから8GBに増やしてありますし、もうしばらくは働いてもらうつもりです。
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