2018年4月10日火曜日

プリメインアンプのパワーアンプ化改造 (YAMAHA A-S801)

激安セパレートアンプ計画。
ヤマハのA-S801というプリメインアンプをパワーアンプ化します。



今まで、このアンプにはパーツ単位での改造をいろいろ施してきました。カップリングコンデンサをニチコンのFWからルビコンのPMLCAPに変えたり、帰還抵抗を金属箔抵抗(アルファ・エレクトロニクスのFLCX)にしたり…こんなことでも結構音は変わるものですね。
今回はパーツ単位の交換ではなくもう少し大規模な改造になりますが、必要に応じて簡単に元に戻せるような手法を取りたいと思います。

さて、このアンプの信号経路の大まかなブロック図(筆者作成: 間違いあるかも)は大体こんな感じです。クリックで拡大できます。



どうも必要以上にゴチャゴチャしているように見えるんですよね。
アナログスイッチIC、オーディオプロセッサICや安いオペアンプ、そして1段ごとに入っているカップリングコンデンサ。これらは製品を便利に(あるいは扱いやすく)してくれる反面、音質には間違いなく悪影響を与えていることでしょう。
最低限の機能だけ残して有象無象の回路は全部取っ払ってしまいたくなりますね。
こんなふうに…


しかし、これだとさすがに不便すぎる気がします。一応プリメインアンプとしての機能も残しておこうと考えたのでやめました。
そして考えたのがこちら。


CD入力とフォノ入力の基板を取り外し、その跡地に新たな入力端子とリレーを組み込みます。
これなら音量調整などの余計な回路をバイパスしてパワーアンプとして使えますし、従来通りプリメインとして使うこともできます。これでいきましょう。

さっそく取り外したCD&フォノ入力基板がこちら。


2mmピッチの16ピンコネクタで親基板と繋がっていました。


親切にも、親基板にはコネクタのピンアサインが書いてあります。
このコネクタを使って新しい基板を固定しリレーの駆動に必要な電圧をもらってきたいのですが、同じものの入手は難しそうです。秋月にある2mmピッチのピンソケットで代用することにします。

ところで上の親基板の写真からも分かる通り、CD&フォノ入力基板に供給されていた電源は±7Vです。オペアンプしか乗っていない基板なので、電圧を2倍くらいに上げたほうが音も性能も良くなるのでは?と思っていましたが、この電圧にはちゃんと意味がありました。隣の基板に載っているROHMのオーディオプロセッサICの動作条件が±6.5~7.5Vなのです。±7VというのはこのICと電源を共用しているために生まれた制約の結果でした。

…電源のコストダウンに少しがっかりしましたが、気を取り直して次に進みましょう。
新設する入力端子と既存端子の切り替え用リレーには5V駆動のEA2-5NCR(ラジオデパート3階で購入)を使用しました。親基板からもらってくる電圧が+7Vなので、手持ちのLDOを使って5Vに落とします。
まあ、抵抗をコイルと直列に入れてリレーに約5Vがかかるようにするという簡易的な方法でも良いと思います。
できたリレー基板はすぐアンプに取り付けてしまったので、基板単体での写真はありません。

さて基板はできましたが、リレーのコントロールはどうしましょう?
このアンプは入力をリモコンで切り替えられるようになっています。その信号を引っ張ってきて使えればカッコいいですが今回はそこまでやらず、アンプの背面にある余った穴(もとCD入力端子があったところ)にスイッチを取り付けて済ますことにしました。


この穴の直径は約10.5mmです。スイッチは6mmか12mmの穴に取り付けるように作られているものが多く、この穴に丁度よく取り付けられるものを見つけるのに少し苦労しました。結局採用したのはミヤマ電器のDS-282(門田無線で購入)。取付穴径10.2mmのオルタネート押しボタンスイッチです。

新設するRCAジャックを選ぶときにも穴の径に注意する必要があります。上の画像に写っているRCAジャック(私がいつも使っている安物)は小さすぎて固定困難だったので、ちょっと大きなものを買ってきてフォノ端子の跡地に取り付けました。確かトモカのC-60だったと思います。



そうそう、もうひとつ重要なポイントがありました。シャーシアースの取り方です。
アマチュアの自作アンプ界隈ではGNDをシャーシに落とすのは1か所というのが当たり前のようになっていますが、製品ではかならずしもそうではないようです。この機種では少なくともアナログ入力部の2か所でGNDがシャーシに落ちていました。そのポイントは、CD入力端子とTUNER入力端子の下のネジです。(ちなみに、PHONO入力端子付近のGNDは小さいCとRを介してシャーシに接続されていたりします。)

ということで、まずは私も元々の接続を踏襲して新設入力端子のGNDを直接シャーシに落としてみました。まあこれでも普通に動作はします。無音時のノイズは改造前と同じレベルです。
次に、やはりGNDループが何となく気持ち悪いので新入力端子のGNDをシャーシから浮かせてみました。すると、無音時のノイズが圧倒的に減ったことにすぐ気づきました。やはりGNDを2点でシャーシに落としてあったのは(少なくともノイズの面では)良くなかったようです。ツイーターに耳を当ててやっと「サー」という音がかすかに聞こえる程度のローノイズになりました。
ちなみに、ここで残る1か所のGNDも浮かせてしまうと保護回路が働いてアンプが動かなくなるので要注意です。

改造後の内部の様子。

入力には軽くLPFを入れました。

パワーアンプ直結入力を試してみると、プリメインアンプとして使った場合とは全く違う音に驚かされます。ザラザラした感じ、こもった感じが一掃され、霧が晴れたような音です。立体感もマシマシ!
特に低音の解像度アップは著しく、だらけていたベースがより明確に聞こえるようになりました(低音が強くなったという意味ではない)。
とにかく、今までコンデンサを交換したりしてチマチマ改造していたのは一体何だったのかと思えるほどの変化がありました。

現在は自作プリアンプと組み合わせて楽しんでいます。


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