1989年に発売されたSANSUIのプリメインアンプ、AU-α707L Extraを入手しました。
幸い故障は無いようでしたが、あちこち劣化していそうだったので一度開けてメンテナンスしておきました。
今回おこなったのは以下の5つ。
(1) 電解コンデンサ交換
(2) 半固定抵抗交換
(3) リレー交換
(4) DCオフセットとバイアスの調整
(5) 清掃
まずは電解コンデンサの交換です。
このアンプは1989年発売で、製造からもう30年近く経っているものです。電解コンデンサの寿命が気になるので、できるだけ交換したいところです。
最初は全ての電解コンデンサを交換するつもりでしたが、カバーを開けてみて気が変わりました…
写真ではよく分かりませんが、箱型のシャーシを使って面で強度を確保するのではなく、フレームで強度を得たうえで外板を取り付けるタイプです。この構造のため内部がちょっと入り組んでおり、簡単には見えない基板があります。
さらに、内部配線が非常に多いです。できるだけ基板をまとめるとか基板同士をコネクタで直結するとか…そういった発想は無かったようで、あらゆる基板が大量の線で繋がれています。しかもコネクタを使わずハンダで直結されているものが大半。
これが結構複雑で、全ての基板を取り外して部品を交換するにはかなりの根気と時間が必要です。諦めました。
というわけで、安定化電源基板とパワーアンプ基板、そしてプロテクト基板の電解コンデンサを交換することにしました。プリアンプ関連の基板にはノータッチですが、POWER AMP DIRCT入力で使う(=プリアンプはバイパスする)つもりなのでまあ良いでしょう。
さて、前置きが長くなりました。交換に入ります。
このアンプで主に使われているコンデンサは日本ケミコンのAWFというオーディオ用品種です。これは廃品種ですが、できるだけ近いものに交換したいですね。しかし日本ケミコンのオーディオ用電解コンデンサは入手困難。
仕方ないので、同じ日本ケミコンのKMGを使いました。KMGはオーディオ用ではありませんが、音の癖が少なく良いものだと思っています。アキュフェーズのアンプにたくさん使われていることが知られていますね。
ELNAのSILMICも少し使われていますが、これは素直にSILMIC2に交換しました。
プロテクト基板のコンデンサは音質に影響しないので、適当な汎用品を取り付けました(※無極性品が使われている部分に注意)。
パワーアンプ基板 コンデンサ交換前(左ch)
交換後(右ch)
耐圧・容量共に元と同じものを取り付けているのですが、KMGのサイズはAWFよりかなり小さいです。
しかし、このアンプの基板は足の幅が違うコンデンサに対応できるように穴が3つ用意されている箇所が多いのです。親切設計…!
このおかげで、小さいKMGをきれいに取りつけることができました。
さて、取り外した古いコンデンサを全て測定してみましたが、意外にも容量・損失 (tanδ) ともに異常のないものが大半でした。
熱にさらされていたいくつかのコンデンサはさすがにヘタっていましたが…
↑容量が公称の約2/3まで減り、損失も他のものより大きくなっています。
取り外したコンデンサ達。
ところで…コンデンサと直接の関係はありませんが、基板の端がこんなことになっていました。
ツェナーダイオードの長年の発熱により基板が変色しています。故障ではありませんが、あまり気持ちが良くないものですね。
案の定、この周囲の電解コンデンサは特に劣化が激しかったです。
今回はここまでです。まだ先は長い!
次回: (2) 半固定抵抗交換
※工作は自己責任でおこなってください。本記事を参考にしたことにより発生した不利益・損失について、筆者は一切の責任を負いません。
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